中小企業経営者にとって悩みが尽きない、人の問題。良い社員を採用・育成し、定着させるにはどうすればいいか。人事制度コンサルタントの松本順市氏が語る。

(写真/PIXTA)
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<シリーズ企画第2回全体の目次>
・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか?
・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく
・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?
・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない
・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい?
問4
職務記述書に どんな要素を入れればいいか分からない

 ジョブ型雇用にもいいところはいくつもあり、中でもジョブディスクリプションと呼ぶ職務記述書は活用できます。多くの日本企業が導入している職能資格制度では、社員に求める職務遂行能力の記述が曖昧で現実にそぐわないことが多いからです。

 ただ、どのような職務記述書を作るのかは考えどころです。欧米のように職務をすべて列挙する方法は、日本企業に合わないでしょう。そこでヒントになるのが、中途採用の場面です。

 中途採用では入社希望者が自身の職務経歴書を持ってきます。そこには、例えば「前職では人事制度の構築、運用をしてきました」など立派な経歴が書かれていますが、いざ採用すると期待通りに働いてくれないケースが多いことは前回の本コラムでも書きました。

 正しくは、その職務を遂行することによって実現した成果を具体的な数字で聞くべきです。前職で人事制度を構築・運用したというなら、会社にどんな貢献をしたのかを数字で聞く。「社員のリストラや給料のカットをせず、労働分配率を67%から37%に引き下げました」などと確認できれば、仕事の能力をより具体的に評価できます。新卒採用業務を担当していた人には、社員1人当たりの採用コストをどう改善してきたのかを聞けば、その経験値が分かります。

 中途採用で良い人材を採用するには、具体的な職務経歴書が不可欠です。同様に既存社員向けの職務記述書でも、社員にどんな成果を上げてもらいたいか、具体的な数値で示すようにします。そして、その成果を上げるために、必要な業務(私は「重要業務」と呼んでいます)、必要な知識・技術、さらに、勤務態度も明確に記します。

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