中小企業経営者にとって悩みが尽きない、人の問題。良い社員を採用・育成し、定着させるにはどうすればいいか。人事制度コンサルタントの松本順市氏が語る。

(写真/PIXTA)
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<シリーズ企画第2回全体の目次>
・問1 ITに詳しい人材を特別な高額年俸で採用してもいいですか?
・問2  「こんな安月給では結婚もできない」と若手がぼやく
・問3 ジョブ型にすると、働かない社員の給料を下げられる?
・問4 職務記述書にどんな要素を入れればいいか分からない
・問5 仕事はできるが、勤務態度が悪い古参をどう処遇すればいい?
問2
「こんな安月給では 結婚もできない」と 若手社員がぼやく

 若手社員の不安の源は、現在の給料水準ではなく、どのように給料が増えていくのかが見えないことにあるのかもしれません。22歳の新卒社員が月20万円の初任給だとします。1年ごとに5000円昇給すれば、その社員は「20年後の42歳のときには10万円増えて、月給は30万円だ。その給料では家族を養うことは難しそうだ」などと考えがちです。

 けれど、メンバーシップ型雇用の日本では、成長すると階層をステップアップしていきます。一般職層の昇給幅が年5000円でも、中堅職、管理職になったら基本給や昇給幅は増えるのが普通です。けれど、そのことを会社が社員に教えていないケースがよくあります。例えば営業の若手にはこう説明しましょう。

 「優秀な営業社員は高い成果を上げており、昇給・賞与は○○円です。その後、中堅職になると、5人くらいの部下を指導する立場になります。部下全員がそれぞれ5000万円を売り上げるほどに育てたら、計2億5000万円と会社への貢献度も高いので、昇給・賞与は○○円になります。さらに管理職になると……」

 もちろん説明するためには、どうしたら一般職から中堅職、管理職に昇格できるのか、その要件を示したステップアップ制度と、そのときの給料、賞与を自分で算出できる賃金制度が必要になります。そうした制度をきちんと整えていない中小企業は、すぐに着手することをおすすめします。

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