「人がいないこと」を現状維持の言い訳にしていないか。工夫次第で、いくらでも人繰りの方法はある。社員の成長にもつながる星﨑社長流一石二鳥の方法とは。

今月の一句
基本給上げて自分の実力示せ


(写真:鈴木愛子)
(写真:鈴木愛子)

 私は社員によくこう話しています。「給料を上げたいなら、目立ちなさい。会社に貢献してなんぼ。例えば、販売実績が人より少し高いくらいでは駄目だ。人の倍の結果を出す。そうすれば、否応なく目立つ。会社にとって欠かせない存在になるから、結果として給料もポジションも上がるよ」と。

 だから当社では社員に目立つチャンスをたくさん与えています。マルチファンクションはその1つ。これは、言ってみれば社内で副業ができる制度です。例えば、店舗に籍を置きながら、人事やマーケティングの仕事をすることができます。

「こういう仕事がしてみたい!」と手を挙げ、受け入れ側の部署が了承したら、週0.5日、もしくは週1日からスタートします。

 そこで頭角を現せば、新しい部署での勤務日が週2日、3日と増えていきます。実際、この制度をきっかけに異動した人やステップアップした人は大勢います。

 人には必ず向いている仕事があります。各人にそうした仕事を渡すのが、会社やマネジメントをする人間の役割です。活躍できない人がいるのは、会社側にも問題があるのです。

 マルチファンクションは、私がこの会社に来てすぐに始めたので、導入してかれこれ7年くらいたつでしょうか。

 当時、会社は瀕死の状態。経営再建のために、スピードを上げて取り組まなければいけないことは山積みでしたが、いかんせん人もお金も足りなかった。もちろん新たに人を採用する余裕などありません。

 そこで思いついたのが、この制度でした。今いる社員たちに1人何役かを担ってもらおうと考えたのです。

 これは苦肉の策ではあったものの、結果として、みんながさまざまな経験を積むことで、メガネスーパー再生の大きな力になってくれたと思います。

 これからは、人事にもマーケティング部門にも、自分の部署の仕事しか分からない人は必要とされなくなります。

 とりわけ店舗は当社の生命線です。何か施策を実施するとき、店舗にいた経験がないと、その是非を判断できません。店舗のオペレーション上、実行が難しいものや、現場が嫌がるものをつくれば、士気も下がってしまいます。

 今後も社員にはマルチファンクション制度をどんどん活用して、会社に貢献しつつ、給料を増やしてもらいたいと思っています。

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星﨑尚彦(ほしざき・なおひこ)
メガネスーパー社長

1966年生まれ。早稲田大学卒業後、三井物産に入社。スイスにあるビジネススクール、IMDでMBA取得後、フラー・ジャコー、ブルーノマリなど外資系企業の日本法人トップを務める。2011年からはアパレルメーカー、クレッジの経営再建に手腕を発揮。13年6月メガネスーパーに入社、同年7月から現職。8期連続赤字からのV字回復を果たす。日々、社員を鼓舞するため川柳を詠み続けている

(この記事は、「日経トップリーダー」2021年7月号の記事を基に構成しました)

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