『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がリーダーのあり方を説く連載の第52回。テーマは「能力」と「支配」。部下より優位に立とうとしたり、部下があなたに服従したりしていませんか。これはリーダーにとって危険な兆候かもしれません。

 ドイツの社会心理学者であるフロムは力(power)には、「能力」(power of = capacity)と「支配」(power over = domination)という二つの矛盾した意味があるといっています。

「力を支配と見るのは、能力の麻痺から起きる」(Man for Himself)

 能力が麻痺した人、つまり、無能な人は、他者を支配しようとするということです。反対に、能力がある人は、他者を支配しようとはしません。

 有能なリーダーは、何が起こっているのかを知るだけではなく、現象の背後にある本質を見抜けなければなりません。

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