みなみ・けいた
みなみ・けいた
1985年石川県生まれ。米カリフォルニア大サンディエゴ校経済学部を卒業後、2009年に大和総研に入社。東京都内の外食企業などの勤務を経て13年1月に家業であるチャンピオンカレーに入社。16年10月から3代目の社長に就任(写真:山岸政仁)
『エラスティックリーダーシップ -自己組織化チームの育て方』
著者 : ロイ・オシェロフ
訳者 : 島田浩二
出版社 : オライリー・ジャパン
価格 : 3080円(10%税込み)

 今回は、『エラスティックリーダーシップ -自己組織化チームの育て方』を紹介します。2017年刊行の比較的新しい本で、私は近年読んだリーダーシップに関する論考では白眉だと思っています。

 著者はIT業界で20年以上の経験を持つプログラマーです。本書は、彼がソフトウエア開発のチームを率いるリーダーを想定して執筆していたブログが基礎です。しかし、本書は決してIT業界やソフトウエア開発チームだけのものではありません。組織を率いる全リーダーにとって必読です。

 最初に強調しておきたいのは、本書は著者自身の成功譚を背景に語られる種類のものではない、ということです。私は、過去の成功者が苦労話を語り、なんとなくフワッとした著者の信念を並べる種類のビジネス書が最も嫌いです。故・野村克也監督に倣うまでもなく、「不思議の勝ち」は往々にしてありますし、サクセスストーリーは私たちを元気づけてくれるかもしれません。それでも、そうした話は実際に自分が何をするかを考える役には立ちません。

 その点で、本書は具体的な行動と、それらが機能すると考えられる条件や前提まで明確に示されている点が、個人的に非常に好ましいのです。

 「エラスティック」という英語はよく「弾力性のある」と訳されますが、本書の意味からは「伸縮性のある」、ないしは単に「状況に応じて可変である」というニュアンスが近いでしょう。

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