小さな会社でよくあるトラブルを弁護士の島田直行氏が解決する。今回のテーマは、定年後の再雇用。業務態度に難がある定年間近の社員の再雇用を、拒否することは果たして可能か。

(写真:PIXTA)
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 経営者に「間もなく60歳で定年を迎える社員から雇用継続を要望されたが、業務態度に難があるので再雇用を拒否できないか」といった相談を受けることがある。

 結論から言えば、相当難しい。なぜなら「高年齢者雇用安定法」により、定年年齢を65歳未満に定めている企業には、社員が希望すれば65歳までの雇用を維持することが義務づけられているからだ。

 かつ、今年4月1日に施行された法改正で、65歳から70歳までの就業機会確保についても、努力義務が課せられた。

 つまり、60歳定年後の再雇用拒否は原則として違法ということだ。実際、定年後の再雇用拒否を違法と判断する判例が大半。企業側が1000万円を超える多額の支払いを命じられたケースもある。

 中小企業では、就業規則で60歳を定年とした上で、65歳までの再雇用制度を設定しているところが多い。定年退職後に嘱託社員として再度雇用し、1年ごとの有期労働契約を締結するのが一般的だ。

 では、どういった場合ならば再雇用拒否が認められるのか。(1)「解雇に相当する理由がある場合」と、(2)「企業側が合理的な労働条件を提示したにもかかわらず、労働条件で折り合いがつかなかった場合」だ。

(1)の場合、解雇に相当する「正当な理由」があれば、再雇用拒否は認められる。とはいえ、判例を見る限り、正当な理由と認められるためには相応の要件が必要だ。

 例えば、業務命令違反を理由に再雇用を拒否して解雇すると、不当解雇になることがある。業務命令違反で、正当な解雇理由として認められるのはどんなときか。