「首相の宣言の後、バタバタと議論をしてつくるほかなかった」。ある政府関係者は、昨年11、12月の霞ヶ関の様子をそう語る。総花的なのはその結果でもあるが、いずれも実現に時間がかかる。長期戦略というほかない。

一方で最初の関門の30年まではあと9年。温暖化ガス排出量46%減を達成するには、短期の対策が不可欠になるはずだ。1つは太陽光など再エネ(20年で12.9%、環境エネルギー政策研究所まとめ。水力除く)の活用をさらに拡大したり、化石燃料の使用量を減らす省エネを拡大したりすることだ。
「再エネ100%にする」
中小企業経営者にも関係のない話ではない。例えば、米アップルは、18年に自社オフィスや店舗の温暖化ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを実現し、30年までに110社を超える取引先にもその達成を約束させた。その取引先が同様の動きに出れば、連鎖的に中小企業まで広がる可能性もある。当面、日本ではそこまでの動きはないものの、大企業から再エネの導入や省エネに本格的に拍車がかかっている。
「4月には自社で作った再エネを自社グループ工場で使う仕組みを愛知県で始めました」

ソニーグループで再エネ活用を中心に脱炭素化を担当する井上哲・HQ総務部シニアマネジャーは笑顔をのぞかせながらこう話す。同社は、40年度までに自社の電力使用量に占める再エネ比率を19年度の5%から100%に引き上げる計画を打ち出している。
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