14の市場がこれから生まれる! 激動の 「脱炭素ビジネス」
(写真/PIXTA)

わずか9年後に温暖化ガス排出量を半減、2050年にはゼロにする──。 菅義偉首相が昨年10月以降、突然積極化した脱炭素政策は、 温暖化抑制で地球環境を守るためだが、 一面で大企業から中小企業まで大きな影響を及ぼしそうだ。 調達、ものづくり、取引関係。経営のさまざまな場面が変わるだけではない。 14の新たな市場が生まれる可能性もある。 経営の重要課題が近づいている。

<特集全体の目次>
・最初の関門まで9年 すべての企業に関わる脱炭素の動きを見逃すな
・洋上風力、EV、水素…巨大市場の可能性をどう見るか(6月22日公開)


 すべての企業に関わる
脱炭素の動きを見逃すな 

 「難しいが、達成可能だ」。国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は今年5月18日、2050年までに世界が温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする工程表を公表し、声明を出した。

「2030年度に温暖化ガス排出量を46%減、50年度までに実質ゼロにする」
意欲的な脱炭素政策を打ち出した菅首相(左)と小泉・環境大臣(写真/毎日新聞社/アフロ)

 日本も昨年10月、就任直後の菅義偉首相が、従来80%減(13年比)だった50年の温暖化ガス排出量減目標を実質ゼロにすると発表した。さらに今年4月末には、その過程である30年度の目標を26%減から46%減へと踏み込んだ。

 先に「50年にゼロ」を打ち出していた欧州連合(EU)は昨年、30年に1990年比で55%減、英国も68%減を設定。米国は今年4月の気候変動サミットで30年までに05年比で50〜52%削減を打ち出した。IEAの工程表は、これら主要国の動きをもとにしたものだ。

 これがいかに途方もないものか。IEAの工程表によれば、化石燃料への新規投資決定を即座に停止し、30年までに新車販売の6割を電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)に変える。さらに35年までにガソリン車など内燃機関車の新車販売を止め、50年にはエネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率を約7割にするという。まさに経済の構造が一変するほどの大転換である。

 特に日本にとっては、「急加速」が必要になる。昨年10月の菅首相の宣言の後、政府は50年に向けたグリーン成長戦略を急きょ策定し、昨年末に公表した。これについては次回で詳しく書くが、狙いは脱炭素社会の実現と経済改革を両建てで進めるところにある。

 「エネルギー関連」や「輸送・製造業関連」「家庭・オフィス関連」などで、EVをはじめとした自動車の電動化や資源循環産業の拡大などを図る。これによって14の分野で温暖化ガスの排出削減や省エネなどを進めながら、新成長産業を育てようというもくろみだ。

続きを読む 2/3 「再エネ100%にする」

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