『嫌われる勇気』の著者で、哲学者の岸見一郎氏がリーダーのあり方を説く連載の第40回。信頼されるリーダーになるために必要な要件とは。

 リーダーシップは一方的なことではなく、常に指導する者と指導される者とがいて、その関係は道徳的でなければならないと哲学者の三木清はいっています(「指導者論」『哲学ノート』所収)。

 指導する者と指導される者の関係において何よりも必要なのは、信頼と責任です。三木は信頼されるためにリーダーが備えなければならない道徳的資格として、次のものをあげています。

 まず、利己的でなく、全体のために計れることです。「利己的」というのは、「自己の金儲けや立身出世を考えること」です。自分の金儲けや立身出世しか考えないような人は組織にとって有害でしかありません。

 アドラーはIchgebundenheitが自分の創始した個人心理学の最大の攻撃点だといっています。

 Ichgebundenheitを私は「自己への執着」と訳しましたが、すべてを自分に結びつける(binden)ことです。

 アドラーは自分にしか向けられていない関心(self interest)を他者への関心(social interest)に変えなければならないと考えています。この「他者への関心」は、個人心理学の鍵概念である「共同体感覚」(Gemeinschaftsgefühl)の英語訳です。

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稲盛和夫氏の書籍を続々刊行

■『経営12カ条 経営者として貫くべきこと

 実践のなかから生み出された経営の要諦である稲盛和夫氏の「経営12カ条」。その真髄をあますところなく語った書籍『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』(稲盛和夫著、日経BP 日経新聞出版)がついに刊行。

 『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』に続く「稲盛経営3部作」、ここに完結。


■『経営者とは 稲盛和夫とその門下生たち

 稲盛和夫氏を師と仰ぐ経営者たちは、どのように稲盛氏の教えを学び、実践してきたのか。「経営者とはどんな人間であるべきか」という根源的な問いへの答えが、稲盛氏と、その門下生たちの言葉から見えてくる。

 稲盛氏の「究極のリーダーシップ論」を実例とともに解き明かした1冊が文庫『経営者とは 稲盛和夫とその門下生たち』(日経トップリーダー編、日経ビジネス人文庫)になって登場。