(特集 中小企業「値上げ実態」調査 前回の記事はこちら)

古田圡 満(こだと・みつる)
古田圡 満(こだと・みつる)
古田土会計代表社員。1983年、東京・江戸川で古田土公認会計士税理士事務所(現古田土会計)を開業。「古田土式・経営計画書」を武器に経営指導と会計指導を両展開。約3600社の中小企業を顧客に抱える

 さまざまなコストの上昇が加速しています。仕入れや原材料費など変動費はもちろん、燃料費や水道光熱費、消耗品費などの上昇が経営を圧迫しています。1970年代の列島改造ブームによる地価急騰や石油ショック時に遡る事態と言えます。

 今起きているコスト上昇は一過性ではなく、長期的に続くとみるべきでしょう。

 少なくとも、経営のかじ取りをする中小企業の社長は、この状況がずっと続くくらいの腹づもりで対策を立て、手を打つ必要があります。

今打つべき手は「値上げ」

 どのような対策を取るべきか。答えはやはり、シンプルに「値上げ」なのです。

 コロナ禍の自粛による消費減退、売り上げ不振の局面では、「固定費を中心にコストを下げて何とか赤字を減らし、会社の存続を図る」が答えでした。これに対して、すべてのコストが上がっている今は明らかに打つべき手が違います。

 「売上高=変動費+固定費+経常利益」と見る「変動損益計算書」(変動P/L)で考えてみると、その理由がよく分かります。少し掘り下げてみましょう。

 客単価をP、客数・販売数をQとすると、売上高はPQで表されます。一方、費用は変動費がVQ、固定費がFと表されます。Vは変動単価で、変動費VQは客数・販売数(Q)に比例します。

 固定費(F)はその名の通り、客数・販売数(Q)によらず一定です。固定費の中には役員報酬、人件費、借地やオフィスの賃料、水道光熱費、消耗品費などが含まれます。

 コロナ禍では多くの企業で客数や販売数が減り、売上高を落としました。その状況を示したのが次ページの図です。しかし、このときは仕入れ値や原材料費などの変動単価(V)は上がっておらず、変動費は売り上げの減少に応じて減少しています。売り上げの減少に対して利益(G)を確保するには、変動単価(V)か、固定費(F)を削減することになります。

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