日経トップリーダーは4月、恒例のイベント「プラチナフォーラム」をオンラインで開催した。先が見えない時代にリーダーがすべきこととは何か。各界を代表する人物が語った。業務スーパー創業者の沼田昭二氏と侍ジャパンの栗山英樹監督の講演を再録する。

ぬまた・しょうじ
ぬまた・しょうじ
1954年兵庫県生まれ、兵庫県立高砂高校卒業後、三越に入社。81年食品スーパー創業。2000年に「業務スーパー」フランチャイズ1号店を開業。12年、長男博和氏に社長職を引き継ぎ、CEOとして博和氏とダブルトップで経営を行う。16年、日本が抱える問題である食料自給率アップ、エネルギー自給率アップを大義名分とした町おこしエネルギー(兵庫県加古川市)を設立する

利益を生み出す「勝つための3原則」

 私は1981年に食品スーパーを創業し、2000年に業務スーパーの1号店を開業しました。その後、フランチャイズチェーンとして業務スーパーを広げ、22年3月末時点で全国964店舗となっています。21年10月期の売上高は3620億円、純利益は195億円といずれも過去最高を更新しました。

 利益を出すということは、勝つための仕組みをつくり出すということです。まず、業務スーパーを拡大していくに当たり重視してきた「勝つための3原則」についてお話ししたいと思います。

泥仕合はしない

 3原則の1つ目は、「泥仕合はしない」ということ。日本の場合、どうしても薄利多売がキーワードになりがちです。しかし、当然のことながら価格競争をしていては疲弊してしまいます。

 私は高校卒業後、三越に入社しましたが、その頃に売上高でダイエーが三越を抜きました。ところが、そのダイエーも1990年代になると経営が厳しくなりました。薄利多売では、大きな時代の流れについていけません。90年代以降、薄利多売のビジネスを進めるのは厳しいだろうと強く感じました。

 私はもともと軽トラックで布団カバーを行商する小さなビジネスから始め、食品スーパーも最初は2店舗しか運営していませんでした。多店舗展開をしている企業には到底追いつけません。では、どう戦うのか。それは独自の強みを持つことだと考えました。すなわち、小売りなら製販一体でデータを持つ、無駄や非効率を排して最も安全で効率的なオリジナル商品を作るといったことです。私の後継者の博和社長が取り組んでくれた輸入食品などが好例です。

 業務スーパーの創業当時、海外の製品は日本人向けにアレンジして展開するのが一般的でした。しかし、私や博和社長は仕事柄50カ国以上、500回以上は海外出張に赴いています。そうすると、最初は口に合わなかった現地の食べ物が、何度も食べるうちにおいしく感じるようになるのです。結局「本物の味」が一番よいということに気づきました。

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