バブル崩壊後、顧客満足(CS)という言葉が広まった。コロナ後の社会では、その先のステージに向かうだろう。顧客満足を超える「顧客幸福(カスタマー・ハピネス、CH)」だ。精神面の幸福度を高めるには、どんな経営が必要か。4人の経営者の思考から、顧客幸福経営を学ぶ。

<特集全体の目次>
・1時間目 MBAでも人気の幸福論とは
 藤木哲也 家いちばCEO「喜びと意義の同時体験で幸福になる」

・2時間目 幸福論を経営に組み込もう
 佐々木敏行 FAR EAST社長「主体的な行動が満足度と幸福を大きく高める」

・3時間目 幸せを可視化する取り組み
 柳澤大輔 面白法人カヤックCEO「ユニークな地域通貨でまちの幸福度を上げる」

・4時間目 BtoB企業の幸福追求を考える
 暮部達夫 アルデバラン社長「顧客のゴール実現まで伴走する」(6月16日公開)


3時間目 幸せを可視化する取り組み
柳澤大輔 面白法人カヤックCEO「ユニークな地域通貨でまちの幸福度を上げる」

IT関連企業の面白法人カヤックは、本社を神奈川県鎌倉市に構える。通勤の満員電車から解放され、職住近接の生活で従業員の幸福度を高める一方で、さまざまなまちづくり事業にも力を入れている。その一環として昨年、独自の地域通貨を開発。人と人とのつながりを深めることでまちの幸福度アップを目指す。幸せの可視化も実現できる、その手法と狙いに耳を傾けてみよう。

やなさわ・だいすけ
面白法人カヤックCEO。1974年香港生まれ。96年慶應義塾大学環境情報学部卒業。98年カヤックを設立(通称・面白法人カヤック)。14年東証マザーズに上場
(構成/尾越まり恵 写真/加藤 康)

 お店や施設などを開放して地域のみんなで好きな映画を鑑賞する「まちの映画館」。地域の飲食店が週替わりで料理を提供し、地域の会社が共同で社員食堂として利用できる「まちの社員食堂」。カヤックでは、幸せなコミュニティーをつくるためのサービスをいろいろと仕掛けてきました。

 その一環として「まちのコイン」というオリジナルの地域通貨も開発しました。鎌倉で実証実験して、2020年から徐々に範囲を広げています。今は神奈川県の厚木市や小田原市をはじめ、全国10カ所ほどで展開しています。

 これまでも、地域活性化のために地域通貨や地域振興券などを発行した自治体はいくつもあります。ただいずれも、その地域で消費やボランティア活動を促進するための取り組みで、自分の住むエリアの中だけで使うものです。

 しかし、人口が減少している時代に住民だけで閉じるのでは、活性化にも限界があります。振興券を使って割引になる原資を行政が負担することを考えても、持続可能な取り組みとは言えません。

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