上限額引き上げを待たず、早く申請する

 なお、今回紹介した「小学校休業等対応助成金」と「雇用調整助成金」の引き上げ法案は6月8日に国会に提出し、6月12日までの成立を目指す予定で、現時点(6月4日)で詳細は明らかになっていません。厚労省から具体的な制度の詳細が正式に発表されるのは、7月になる可能性もあります。

 よって、経営者の中には日額上限の1万5000円への引き上げが正式に決まるまで、助成金の申請を待った方が有利ではないかという疑問が生まれています。ただ結論から言えば、正式に決定する前に申請手続きはできるだけ早く実行した方がよいでしょう。なぜなら、早く申請すれば、それだけ早く助成金を受給できるからです。資金確保は時間との戦いです。キャッシュフローを重視し、助成金を早く手にできれば、経営者の心の中に安心感が生まれ、アフターコロナ時代を見据えた経営戦略の打ち手をスムーズに実行できます。

 また、今回の拡充の適用期間は4月1日に遡及して適用される見通しです。現時点では詳細が決定していないため、あくまで私見ですが、日額上限8330円でいったん申請して助成金を受給済の企業でも、日額上限1万5000円との差額は4月に遡及して、国から後日支給されるのではないかと予想しています。日額で約7000円の差は大きいため、上限引き上げ前に申請した企業が損をするという不条理が生まれないように、何らかの手当を国が行うのではないでしょうか。

 最悪を想定し、最善を尽くすのが経営者の使命。今日の危機を乗り越えるために、助成金をはじめ、給付金・補助金・公的融資・優遇税制といった緊急経済対策の“果実”を安全確実に手にしてください。

 今こそ「指揮官先頭」の精神で、冷静かつ理性を持った経営判断を行うべきです。新型コロナ禍をチャンスに変えて、社員やその家族が安心できる経営基盤を守りましょう。ただし、「雇用調整助成金」をはじめ、制度変更が幾度となく繰り返されている状況ですので、最新情報のキャッチアップに努めてください。

(この記事は、「日経トップリーダー」2020年6月号の記事を基に、6月4日までの情報を踏まえて第2次補正予算による変化を加筆しました)

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