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コロナショックによる社員の休業手当は平均賃金の100%にしたいが、現実は厳しいと悩む社長が多い。実際は何割が多いのか。税理士法人と社会保険労務士法人を擁するTFPグループの岩佐孝彦代表によると、これまでは「60%」が多数派だった。しかし、政府は5月27日に第2次補正予算案を閣議決定し、雇用調整助成金などを拡充した。そうした最新動向を踏まえ、雇用調整助成金などを今後どう活用し、休業手当は何割にすべきなのか。岩佐氏に寄稿してもらった。

岩佐孝彦(いわさ・たかひこ)
税理士・中小企業診断士。1969年兵庫県生まれ。税理士法人と社会保険労務士法人を擁するTFPグループを主宰する。著作に『助成金&補助金で新型コロナ禍をチャンスに変える方法』(CD、日本経営合理化協会)などがある

 コロナ対策は“見えない敵”と戦う第三次世界大戦とさえ言われる今日、経営者に求められるのは、社員とその家族の安全を守ることです。中でも経営者の頭を悩ませるのが「休業手当」の問題です。

 労働基準法上の「休業手当」とは、社員本人の都合ではなく、使用者の都合で休ませた場合に支払う手当であり、平均賃金の60%以上と定められています。それでは、「休業手当」は一体いくら支払うのが経営上最適なのでしょうか。

 社員の生活を第一に考えれば、通常時の賃金の100%を支払うべきです。一方、会社の存続を優先すれば、労働基準法の最低ライン(平均賃金の60%)を支払うべきでしょう。こうした狭間の中で今、多くの経営者が苦悩しています。

 これまでの実態では60%の会社が多いと思います。後述するように「雇用調整助成金」の上限額が1日8330円まで(6月4日現在)という制限があるからです。この基準を超えずに助成金をもらおうとするため、事業者は休業手当を60%に抑えているのです。

 そうした中、私どもでは、厚生労働省の助成金を戦略的に活用し、資金負担の最小化を図るように指導しています。史上最大規模のGDP(国内総生産)の約4割に上る200兆円を超える緊急経済対策として、助成金をはじめ、公的融資・給付金・補助金など大量の資金が中小企業に注入されています。

 これらの資金を安全確実に手にし、今日の危機を乗り越えなければなりません。特に助成金は、休業要請対象の有無、社員の属性などの個別事情に即し、賢く使い分けることが大切です。