
1972年東京都生まれ。大学卒業後、住友海上火災保険(現三井住友海上火災保険)入社。98年、テイクアンドギヴ・ニーズを設立する。2001年、最年少(当時)の29歳で現在のジャスダックに上場。06年、東証一部に最年少(当時)の33歳で上場。10年に会長。16年トランクを設立
Q. 東証一部上場の翌期に赤字を計上。危機を乗り越えた経験が、コロナ対策に役立った点は?
A. 社員と課題を共有し、理念に基づき迅速に行動する
おかげさまで約20年間上場会社の役員をやらせてもらっています。中でも一番厳しかったのは、2006年に東証一部に上場した翌期、大がかりな経営改革に取り組む中で赤字に転落したときでした。今、新型コロナウイルスの感染拡大で当時と同等、あるいはそれ以上に厳しい壁が目の前にあります。
この壁をどう乗り越えるのか。私たちが取った手段にはあのときの教訓が生きています。

1998年、26歳でハウスウエディングの先駆けとなるテイクアンドギヴ・ニーズを立ち上げ、2006年、当時最年少の33歳で東証一部に上場。イケイケだった私は、売り上げや利益を伸ばすことを最優先に、ポータルサイト会社、ジュエリー会社、旅行会社、ファイナンス会社、お見合い会社と事業を急拡大しました。
営業成績のいい社員にインセンティブを付けるなど、私がすべてのストラテジーを構築した上で何から何までトップダウンでディレクションをしていました。
成績さえよければ給与が増えていく仕組みの中、社員の間には「いい結婚式とは何か」「いい結婚式をつくろう」という意識が欠落していきます。売り上げ急増の裏で現場は疲弊。顧客視点に立ったサービスができなくなり、やがて顧客からクレームが出始めたのです。
突っ走ってきた私の限界でした。
このとき、他企業の成功事例の数々に学んだのが、優秀な経営者の成功の根底には必ず理念があるということです。経営理念によって企業価値は高まっていく。それまで「売り上げ利益主義」だった私にとって、大きな気づきでした。
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