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(写真/PIXTA)

 外出自粛要請によって、大企業だけでなく、中小企業も在宅勤務にシフトした。中小企業は、在宅勤務にどこまで対応できているのか。

 特集では、住宅業界、製造・建設業界の取り組みをそれぞれ取材した。ネット環境の充実といった目先の対応だけでなく、テレワーク時代に即したビジネスモデルに踏み込む中小企業が現れている。

・電子見積もりや無人モデルハウス、在宅化で変わる中小住宅業の営業
・ビデオ会議やチャット導入 中小製造・建設業の「現場」も変革へ
・テレワーク社員の人事評価は、通常の評価と何を変えればいい?



一気に進んだテレワークの裏側で、社員の評価の仕方に頭を悩ませる経営者が急増中だ。既存の評価項目をどこまで適用すればいいのか、勤務時間中にさぼってはいないか──。在宅勤務社員の評価のポイントを専門家に聞いた。

松本順市(まつもと・じゅんいち)
1956年生まれ。中央大学卒業後、鮮魚店に入社し、社長の参謀役を務める。業界初の働き方改革に取り組み、サービス残業ゼロを実現。社員が成長する人事制度を構築し、東証2部上場の原動力となる(現在東証1部)。その後独立し、人事コンサルタントとして1266社の中小企業を指導する(写真/菊池一郎)

 緊急事態宣言の発令以降、指導先の中小企業経営者から「在宅勤務の社員の評価はどうすればいいですか」という問い合わせが殺到しました。多くの企業にとっては、在宅勤務の社員を評価するのは初めてのことですから、全く見当がつかないのも当然です。

 大切なのは、今年度に限っては在宅勤務中の評価を昇給・賞与から切り離すことです。そして、それを社員に伝えることです。

 通常、評価と昇給・賞与は連動します。評価が高ければ、昇給して賞与も増える。評価が低ければその逆です。評価の結果次第で部下の役職や報酬が変わりますから、上司も部下も真剣勝負です。しかし、従来の評価基準を在宅勤務に適用すると、実態にそぐわない可能性があるのです。

 先日、ある社長が「営業社員をどう評価すればいいでしょうか」と電話をかけてきました。「在宅勤務の営業社員はどのように働けば成果が上がるか、社長は分かりますか」と尋ねると、「全く分かりません」と困った様子です。

 在宅勤務が本格化して間もない今は、どの会社も似たような状況です。私はこう伝えました。「通常の評価項目を無理に当てはめようとしないでください。今年度は皆で生産性の高いテレワークの働き方を模索しましょう。来年度から、それを基にしたテレワーク用の評価項目をつくればいい」。