バブル崩壊後、顧客満足(CS)という言葉が広まった。コロナ後の社会では、その先のステージに向かうだろう。顧客満足を超える「顧客幸福(カスタマー・ハピネス、CH)」だ。精神面の幸福度を高めるには、どんな経営が必要か。4人の経営者の思考から、顧客幸福経営を学ぶ。

・MBAでも人気の幸福論とは
藤木哲也 家いちばCEO「喜びと意義の同時体験で幸福になる」
・幸福論を経営に組み込もう
佐々木敏行 FAR EAST社長「主体的な行動が満足度と幸福を大きく高める」(6月14日公開)
・幸せを可視化する取り組み
柳澤大輔 面白法人カヤックCEO「地域通貨の流通量でまちの幸福度を計測する」(6月15日公開)
・BtoB企業の幸福追求を考える
暮部達夫 アルデバラン社長「顧客のゴール実現まで伴走する」(6月16日公開)
藤木哲也 家いちばCEO「喜びと意義の同時体験で幸福になる」
家いちば(東京・渋谷)の藤木哲也CEOはビジネススクールで幸福論について学び、研究し、自身の事業に生かしている。まずは藤木氏に、幸福論を説いてもらいつつ、顧客幸福へのアプローチ法を紹介してもらう。

家いちばCEO。1993年、横浜国立大学建築学科卒業。ゼネコンで現場監督、建築設計事務所で設計、住宅デベロッパーを経て、不動産ファンド会社にて不動産投資信託や証券化不動産のアセットマネジメントに携わる。豪ボンド大学のMBA(経営学修士)を取得後、2011年に家いちばの前身となる不動産活用会社を設立。15年に「家いちば」サイトをスタート、19年、家いちば設立。ビジネススクルールで学んだ「幸福」を利用者や自らも得られるよう事業を進めているという。著書に『空き家幸福論』(日経BP)がある(写真/清水真帆呂)
私はサラリーマン時代、自費で通ったビジネススクールで幸福論を学びました。この授業はビジネススクールでも人気ですが、その後私も起業することになり、であれば人を幸福にする事業がよいと、これに感化された1人です。
この授業では、幸福という精神的価値を営利目的の企業経営とどう一体化していくか議論しました。経営者の品位、企業の社会的責任、資本主義経済の弊害などについても考えさせられました。
真の幸福とは、人が「足るを知る」ことですが、なかなかそうはなりません。昨日の贅沢(ぜいたく)は今日の必需品に、明日は不満の種となるという慣れが邪魔をするからです。
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