中小企業経営者にとって悩みが尽きない、人の問題。良い社員を採用・育成し、定着させるにはどうすればいいか。人事制度コンサルタントの松本順市氏が回答する。

(写真/ PIXTA)
<特集全体の目次>
・問1 「給料の高い会社に転職する」と言ってきた社員を引き留めたい
・問2 給料は高いけれど「働かないオジサン」にもう一度発奮してもらいたい
・問3 「人の2倍稼いだのに、賞与が同額とはおかしい」と社員に詰め寄られた
・問4 営業職の歩合給をやめたらモチベーションが下がった
・問5 高給で採用した中途社員が働かず、期待外れです……。
問2
給料は高いけれど「働かないオジサン」にもう一度発奮してもらいたい

 皆さんの会社にも、高い給料をもらっているのにそれに見合う成果を出していない高齢社員がいるかもしれません。この「働かないオジサン」は、特に大企業に多い傾向があります。

 会社の業績は拡大の一途とは限りません。業績が上がらなければ組織を縮小したり、新規事業への挑戦を白紙に戻したりすることもあります。そうすると、どれだけ頑張っても、就くべき役職がない場合があります。

 また、大企業には若手に活躍してもらうために、50代になると要職から外れる「役職定年」の制度があり、それをきっかけにやる気をなくす社員もいます。

 このように、働かないオジサンを生んでしまう責任は会社側にもあるのですが、会社としては給料に見合った働きをしてもらいたいと考えているはずです。

給料は「今」の成果に払う

 先日、建設会社の社長から「働かないオジサン」について相談を受けました。それは50代の営業担当の常務取締役のことでした。

 かつては素晴らしい営業成績を残したために常務まで出世したのですが、今はからっきしで、誰が見ても絶対に契約が取れるような案件をことごとく落としてくるのだといいます。

 どれくらい成果を上げていないのかと社長に尋ねてみると「もう15年は上げていない」。「それは長過ぎでしょう」と、私も思わず苦笑いしてしまいました。

 私に相談してきた社長は2代目で、常務は先代の創業社長の時代に成果を上げて、かわいがられたそうです。2代目は先代に気兼ねして常務には何も言えず、「いつか常務が気づいてくれるだろう」と思っているうちに15年が過ぎてしまったというのです。

 成果を出していない常務は、今の成果ではなく、過去の功績に対して給料をもらっていることになります。

 しかし、会社の給料はあくまで今の成果に対して払うべきです。「今まで頑張ってきたのだから」と何の教育もせず、当然のように高い給料を払い続けた会社にも責任があります。

 働かない社員も評価フィードバックの際に、毎年「もっと働いてほしい」と言われていれば、変わらなければならないと思ったでしょう。会社が働かない社員の問題を放置すると、本人は自分に問題があることに気づきません。これくらい働けば、このくらいの給料をもらえるのが当たり前だと勝手に思い込むのです。

 私は2代目の社長に、次のようにアドバイスしました。

 「高い成果を上げている優秀な社員と、働かない常務との違いを明確にしてください。高い成果を上げている社員は、このような重要業務をこなし、このような新しい知識・技術を持っており、勤務態度はこうである。

 それに対して、あなたの今の重要業務の遂行度、知識・技術の習得度、勤務態度の順守度はこうである。このままでは給料を下げざるを得なくなる。そうしたくないので、これからしっかり指導しますと伝えるべきです」

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