中小企業を取り巻く環境が大きく変わってきた。企業物価は41年ぶりの上昇幅を記録、原材料など仕入れ価格の高騰となって企業を苦しめる。インフレを押さえるために日銀は長年続いた超金融緩和政策を変更するのか。一方で急激な円安も進み、国内市場で生きる多くの中小企業の負担は増している。ロシアのウクライナ侵攻は、中国の台湾侵攻など、これまで「まさか」と思われてきた地政学リスクを検討項目にした。もう一度、経営リスクを総点検してみよう。

(写真/AP/アフロ(上)、つのだよしお/アフロ(下))
(写真/AP/アフロ(上)、つのだよしお/アフロ(下))

リスク1 物価急騰が経営を圧迫

 「うちの主力製品の材料は3カ月ごとに市況に応じて価格を見直すことになっているけど、4月は1キログラム当たり100円も値上げになった。次の7月もまた上がるだろうし、秋には恐らくこれまでで最高値にいくと思ってます。本当に困った……」。

 埼玉県寄居町の自動車部品用工具メーカー、日東精密工業の近藤敬太社長はこう言って顔を曇らせる。同社は、ブローチと呼ばれる自動車部品の切削工具が、約15億円の売り上げで最大の柱。近藤社長が頭を痛めているのは、その原材料である高速度鋼がここに来て急速に値上がりしていることだ。

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