家業を承継し、一代で全く異なる会社に事業変革(トランスフォーム)した経営者、「事業トランスフォーマー」。第4回は、額縁のタカハシの高橋淳社長を紹介する。元建具店が、額装サービスを強みに、ネット通販で顧客のニッチな要望に一手に応えるという事業変革を起こした。

 額縁のタカハシ(長野県長野市)は、高橋社長の祖父が襖(ふすま)や障子を作る建具店を1928年に始めたのが興り。60年からは木工技術を生かして、額縁の製造を始め、その後、要望に応じて額装するサービスも始めた。賞状や写真を入れる需要だけでなく、かつては「日曜画家」と呼ばれる絵を描いて額に入れる個人客が多く、90年代まで額縁はコンスタントに売れていた。

 同社は長野市内に2店舗、94年は上田市にも店舗を開設し、98年に最高売り上げ(約3億円)になった。しかし趣味の多様化やホームセンターが額縁を売るようになったことなどから、売り上げは毎年約5%ずつジリジリと下がっていく。

豊富な事例が需要を喚起

高橋社長は、大学を卒業後、愛知県の額縁メーカーに1年間勤め、金沢市にある表具店で3年間働いた後に家業に戻った(写真提供/額縁のタカハシ)
高橋社長は、大学を卒業後、愛知県の額縁メーカーに1年間勤め、金沢市にある表具店で3年間働いた後に家業に戻った(写真提供/額縁のタカハシ)

 高橋社長は75年生まれ。大学卒業後、額縁メーカーと表具店で働いた。建具店は木工技術が強みだが、表具店は絵画や書を掛け軸などに仕立てる技術を持つ。高橋社長は表具店で表装技術や額装技術を習得した。

 高橋社長は、家業の売り上げが下がっていたため、2001年に家業に戻り、松本店を立ち上げ、その運営に当たった。新店舗の開業で、会社の売り上げは一時戻ったものの数年すると、また下がり始めた。06年に、先代が「少しでも売り上げの足しになれば」とネット通販を始め、初年度の売り上げはわずかに約60万円であったが、これが事業変革の契機となる。

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