
駒澤大学卒業後、1983年ドラフト1位で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)入団。91年リーグ打率3位、最高出塁率を記録。現役引退後は米ヤンキースでのコーチ留学を経て、日本ハムの二軍監督、一軍ヘッドコーチなどを務め、リーグ優勝2回、日本一2回を獲得。17年に退団後は、野球解説のほか企業研修などにも活動の場を広げる(写真:菊池一郎)
多くのリーダーは、部下に対してアドバイスをしようとします。そのため、部下の話を途中で遮って意見を言ったり、否定したりしている人も多いのではないでしょうか。
何かを伝えなければ、何かを教えなければ上司ではない? そんなことはありません。効果的な質問をして、聞くことに徹することで、相手の考えは深まっていくのです。アイデアややる気も湧き起こってきます。
こうして部下の能力ややる気を引き出すことこそが、上司の役目です。
ただし、「聞く」ことに徹するのは、簡単なことではありません。まず大事なのは「今日は話を聞くぞ」と決めることです。「マインドセッティング」をしなければ、人はじっくり話を聞けません。
聞く、と決める。これは自分で作ったルールを、自分で守るということです。
私は中学生のときにチームで孤立した失敗から、「腹が立っても怒らない」というルールを決めました。一時の感情に任せて怒鳴ってしまい、あとで後悔するよりは、今、我慢したほうがいい。ルールができると、腹が立ったときに一瞬の間ができ、感情的になることがなくなりました。今でも私は自分で作ったこのルールを守っています。
元メジャーリーガーのイチロー選手には、打席につく前に必ず行うルーティンの動きがありました。調子が良くても、悪くても、毎回同じ。あの行動により、打つ準備ができたことを自分の頭と体に言い聞かせているのです。これはイチロー選手が決めたルールです。
ルールは決めたもの勝ちです。「意見を言いたくなったら口を押さえる」「話を聞く前に耳を触る」など、何でもいいので、皆さんも自分でルールを決めてみませんか。
会話はキャッチボールです。私は野球の世界に長くいた人間ですから、話を聞くときは自分がキャッチャーであることをイメージします。相手はピッチャーです。グローブを持って構える自分をイメージして、こう思います。
「よし、どんな球でも受け止めてやるぞ。もしボールが横にそれたらダイビングキャッチしてやる。ワンバウンドでも体で受け止めよう」
たとえ暴投を投げられても「大丈夫、大丈夫」と言って、相手が一番取りやすいボールを投げ返すことを心がけています。これが私のコミュニケーションのイメージです。
しかし、多くの人が、ドッジボールをしていませんか? 取れるボール以外はよける。変化球が来たら、何倍も強いボールを投げ返す……。
キャッチボールとドッジボール、あなたはどちらのタイプの人と会話をしたいですか。答えは明確なはずです。ドッジボール型のリーダーでは会話が続きません。
(この記事は、「日経トップリーダー」2020年5月号の記事を基に構成しました)
白井氏の新刊『神コーチング~人が育つ言葉』が発売されました。本誌連載をもとにしつつも大幅に加筆。白井氏ふんする「神コーチ」が、厳しい指導で部下の心が離れてしまった「鬼コーチ」と対話し、指導方法を変えていくストーリー仕立てです。ぜひご一読ください。
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3/22ウェビナー開催、「強い『松下電器』は復活するか プロCIOが挑む巨艦パナソニックのDX」

日経ビジネスLIVEでは3月22日(水)19時から、パナソニックホールディングス(HD)の改革を最前線で率いる、玉置肇CIO(最高情報責任者)を講師に招いたウェビナーを開催します。テーマは「強い『松下電器』は復活するか プロCIOが挑む巨艦パナソニックのDX」です。玉置氏はファーストリテイリングやアクサ生命保険でもCIOとしてDXを推進した、国内有数の「プロCIO」として知られます。連結従業員数が24万人にのぼる巨大組織のDXをどのように進め、さらに今後どう改革しようとしているのかについて語っていただきます。ウェビナー後半では視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。
■日程:3月22日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:強い『松下電器』は復活するか プロCIOが挑む巨艦パナソニックのDX
■講師:玉置 肇氏(パナソニックホールディングス執行役員兼グループCIO)
■モデレーター:中山玲子(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
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