古田土会計の川名徹執行役員の会計基礎講座。「B/S(バランスシート)」の中から2月号では「自己資本比率」と「流動比率」について、前回は、「現預金比率」と「借入返済期間」について説明した。今回は、「ROA(総資産経常利益率)」と、財務改善の方法について説明する。B/Sをもとに月次で財務改善をしている会社は、不景気の時でも安定した経営が可能になる。

2021年開催のセミナー「経営者・幹部のための『バランスシート』入門講座」を基に再構成しました

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 ポイント5 
ROA(総資産経常利益率)

P/LとB/Sで見る総合指標

 最後のポイントは、「ROA(総資産経常利益率)」です。ROAとは「Return On Asset」の略。持っている資産でどれだけの利益が出せたかの比率で、B/SとP/L両方に関係する総合指標になります。利回りや効率性を表す数値です(図26)。

図26 ROA(総資産経常利益率)
図26 ROA(総資産経常利益率)

 ちなみに、「ROE(自己資本利益率)」という指標もありますが、こちらは持っている自己資本でどれだけの利益を出したかの指標です。主に株主が投資した資本によってどの程度儲けたかを見るためのものなので、一般的な中小企業では普段使うことはありません。

 ROAの計算式は、経常利益÷総資産(図27)。例えば、5億円の総資産で5000万円の利益を出せば、ROAは10%となります。この数字は、目安としては、ROA 10%以上が理想です。

図27 ROAの計算式
図27 ROAの計算式

無駄な資産は持たず、効率的に稼ぐ

 図28を見てください。複雑な計算式なので、覚える必要はありませんが、このように分解できます。

図28 ROAを分解すると
図28 ROAを分解すると

 ROAは経常利益、総資産、粗利益額など、分解した計算式にある複数の指標の総合指標です。もちろん、すべての数字が大事です。売り上げを増やす、粗利を増やす、固定費を下げる、そうすると経常利益が増える。これは日ごろから皆さんが取り組み続けていることだと思います。

 ですから、ROAを高める方法として今後意識していただきたいのは、計算式の分母、総資産を減らすことです。ますます先行きが見えづらい時代ですので、いかに効率的な経営を目指せるかが大事になります。

 大きな不動産を購入し、大きな設備投資を仕掛けて、総資産を増やして大きなリターンを狙う。そういうやり方は、優良なスタートアップ企業ならいいかもしれませんが、一般の中小企業の場合は難しく、今後はさらにリスクを伴う方法になっていくと思います。

 中小企業はできる限り不要な資産は持たずに、いかに効率的に稼ぐかを視野に入れた事業転換や事業再構築が必要になります。

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