古田土会計の川名徹執行役員の会計基礎講座の第2弾。「B/S(バランスシート)」の中から2月号では「自己資本比率」と「流動比率」について解説した。今回は、「現預金比率」と「借入返済期間」について説明する。B/Sが理解できれば、会社の財務力や資金力を正確に把握することができる。B/Sをもとに月次で財務改善をしている会社は、不景気の時でも安定した経営が可能になる。

2021年開催のセミナー「経営者・幹部のための『バランスシート』入門講座」を基に再構成しました

 前回のおさらい 

1. B/Sとは

 B/S(貸借対照表)は会社の財産の状況を示したもので、会計用語では「ある一定時点における財政状況、資金の調達源泉とその運用形態」と言います。一方で期中の経営成績を表したものが「P/L(損益計算書)」になります。

 B/Sは左右に分かれ、さまざまな項目が並んでいます。

【左側=資産。お金をどう使ったかを表す。会社の持ち物リスト】

【右側=お金をどう集めたかを表す。上が負債(返済するお金)、下が純資産(返済不要のお金)】

 並び順にもルールがあります。左側の資産の部分は、現金から始まり当座預金、普通預金、定期預金、定期積み金、売掛金、在庫とお金になりやすい順に並びます。

 一方、右側はお金の支払いが早い順に並んでいます。買掛金や1年で返済する短期借入金などが上の方、長い期間をかけて返済する長期借入金は下の方になります。そして、資本金など返済の必要がない資産が一番下です。

 左側は上の金額が多いほうがよく、右側は下の方の金額が多ければ多いほどいい。すぐにお金になって、お金がなかなか出ていかない状態を作ることが重要です。

2. 自己資本比率

 自己資本比率とは、会社の安全性や健全性を表す数値です。

 自己資本比率の計算方法は、「純資産÷総資産」です。総資産が5000万円で純資産が3500万円であれば、自己資本比率は70%になります。自己資本比率が高い会社は筋肉質であると言えます。

 この自己資本比率を上げる方法は3つあります。1つは、純資産を増やす方法。例えば、外部から増資して資本金を増やせば、自己資本比率を上げることができます。ただし、これは中小企業にはあまり現実的ではないかもしれません。

 2つ目が、毎年利益を積み増して純資産を増やすこと。3つ目が、総資産を圧縮すること。不要な資産を持たない経営をして分母の総資産を小さくすれば、自己資本比率は上がります。資産を圧縮するといっても、お金を圧縮してはいけませんので、お金以外の資産を圧縮するという考え方です

3. 流動比率

 自己資本比率は縦のバランスでしたが、流動比率はすぐにお金になるものと、すぐに支払うお金という横のバランスです。

 計算式は、「流動資産÷流動負債」。この比率が大きいほうが安全性が高くなります。ただ、流動比率は大きければ大きいほどいいというわけではありません。まずは、流動負債より流動資産のほうが大きければよしと理解してください。大事なのは、中身です。

 例えば、売掛金や受取手形などの中に、不良債権がそのまま残っていたり、不良在庫が残っていたりと、お金にならない資産で膨らませていても意味がありません。

 流動資産と合わせてチェックしていただきたいのが「固定長期適合率」です。計算式は「固定資産÷(純資産+固定負債)」。これは、固定資産をどのような資金調達で賄っているか、そのバランスを示す数値です。純資産と固定負債の合計で固定資産の代金を賄えているか。設備投資は過剰ではないか。確認してみてください。

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