経験豊富な税理士が見た「社長!それやめませんか?」と言いたくなる現場。ここでは、そんな現場体験の中から、4つのストーリーを紹介する。

<特集全体の目次>
・第1話 社長! そんなに借金を怖がっていると大チャンスを見逃しますよ
・第2話 社長! やたらと銀行の支店長に会いに行くのはやめましょう
・第3話 社長! 経理部長に頼り過ぎるのはやめませんか
・第4話 社長! 説教タイムが続く会議は改善しませんか
第3話 社長! 経理部長に頼り過ぎるのはやめませんか


社長「先生、経理部長を任せられる優秀な人材、いませんか」

税理士「えっ! 佐藤部長、退職するんですか?」

社長「そうなんですよ。親の介護で実家に帰ることになって」

税理士「経理部長はなかなか採用が難しいですよ。お金を任せるわけですから」

社長「ですよね……」

税理士「社長は経理部長に何を求めますか?」

社長「正確な経理処理能力などでしょうか。銀行に決算報告をした経験も必要ですよね」

税理士「経理を自動化させて、社長が決算報告をすればいいのでは?」

社長「自動化? 私が自分で決算報告をする? それはちょっと無理ですよ」


(写真/PIXTA)
(写真/PIXTA)

 会社のカネ勘定をすべて任せていたベテランの経理部長が突然辞めることになった。多岐にわたる専門業務を引き継げる人材が社内にはいない――。

 中小企業ではこうしたケースはよくあります。社長にとっては頭を抱える問題でしょう。

 こうなったとき、もしくはこうなる前に、経営者として経理の業務について改めて考えてほしいことがあります。

 まず、社長が経理部長(経理責任者)に求めるものは何か。

 それは主に決算、資金繰り、銀行交渉でしょう。

 月次の損益は複式簿記での月次決算をしていなくても把握できます。売り上げや粗利は営業担当から、人件費は給与担当からの報告で、経費は経費精算や振込記録から寄せ集めれば決算処理を待たずして(むしろ早く)知ることができます。

 また、資金繰りに関しても通帳残高を毎日見ていれば何となく分かります。しかし、年度末の決算や税務申告を考えると「優秀な経理部長を採用しなければ」と感じてしまうのでしょう。

 売掛金の消込や振込業務、経費精算などは、経理部長ではなく経理担当が処理することを考えると、経理部長が退職しても業務はストップしません。

 経理部長は「実務」でなく「判断」や「承認」「税理士や会計士との窓口」の役割を担っていると言えます。ですが、最終的には社長の判断となるため、クラウド会計などでの自動処理が可能となれば、社長はどこにいてもすぐに承認ができます。

 つまり、経理部長の役割を社長が担うことができるわけです(もちろん会社の規模によります)。

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