「経営者としての資質は不透明だが、ともあれ、我が子に会社を継がせたい」そんな承継の王道が崩れつつある。親族以外の有能な人材を社長に据える中堅・中小企業が増えているのだ。事例と成功の要点をリポートする。

(写真:PIXTA)
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<特集全体の目次>
・事業承継ドクター協会 佐奈徹也氏 承継には「年齢表」を使う
・株式の承継に足かけ7年、社員への事業承継を成功させるには
・取引先の社員が赤字会社を承継、社員20人から500人へ事業を拡大
・事業承継の失敗談 私は有能な後継者候補の豹変に気づけなかった
・古田土経営 飯島社長「先代を立てることで事業承継はうまくいく」


 税理士法人の古田土会計などを束ねる古田土経営(東京・江戸川)は本誌連載でもおなじみの会社。その2代目を務める飯島彰仁氏は、顧客企業の事業承継を含む経営全般のコンサルティングをしつつ、創業者の古田圡満氏との間で自社の事業承継も成功させた。経営を助言する立場の会社が実施した事業承継とはどのようなものか。

古田土経営の飯島社長。「先代からの企業理念や経営の考え方を尊重しなければ、先代は安心して継がせることができない」と言う
古田土経営の飯島社長。「先代からの企業理念や経営の考え方を尊重しなければ、先代は安心して継がせることができない」と言う

創業者である古田土会長の子息が社内にいるにもかかわらず、血縁関係にない飯島社長が事業を承継しましたね。

飯島:現会長のご子息はまだ若いので、今の段階では継ぐという話にはならなかったのでしょう。将来、状況によっては大政奉還もあるかもしれません。

 会長も私も、顧客企業に言っていることですが、事業承継で大切なことは血縁ではなく、会社の企業理念が体に染み込んでいて、それを先代と共有し、さらに社内外にきっちり伝えていけるか、ということだと考えています。

 そのような目線で見た場合、当社でこれを実現できる私が継ぐことになったのだと思います。

43歳で継ぎ、株14%を取得

飯島社長の入社から社長就任までの経緯を教えてください。

飯島:私は大学卒業後、総菜などを扱う企業で販売の仕事に携わっていたのですが、一念発起して税理士を目指そうと、ある会計事務所に入ったのです。この会計事務所にいたときに受講したのが古田土経営のセミナーでした。

 「日本中の中小企業を元気にする」という会長の理念や価値観に心から共感し、自分も会長のようになりたいと思ったんです。ひと言で言えば、先代にほれてしまったわけですね。

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