「経営者としての資質は不透明だが、ともあれ、我が子に会社を継がせたい」そんな承継の王道が崩れつつある。親族以外の有能な人材を社長に据える中堅・中小企業が増えているのだ。事例と成功の要点をリポートする。

(写真:PIXTA)
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<特集全体の目次>
・事業承継ドクター協会 佐奈徹也氏 承継には「年齢表」を使う
・株式の承継に足かけ7年、社員への事業承継を成功させるには
・取引先の社員が赤字会社を承継、社員20人から500人へ事業を拡大
・事業承継の失敗談 私は有能な後継者候補の豹変に気づけなかった
・古田土経営 飯島社長「先代を立てることで事業承継はうまくいく」


 企業の人材採用や営業、販売促進、データ入力など多様な業務を支援するデルタ(東京・中央)。同社の創業者から事業を承継したのは、取引先の社員、平井健一氏だった。平井氏は2007年に引き継いだ後、社員約20人規模の会社を、500人規模の企業グループに成長させた。社外の人にスムーズに会社を受け渡すにはどうすればいいのかを探る。

新入社員研修に臨む平井社長。ベトナムやシンガポール、フィリピンにもオフィスがある
新入社員研修に臨む平井社長。ベトナムやシンガポール、フィリピンにもオフィスがある

平井社長は、社員でもない社外からの事業承継です。承継の経緯を教えてください。

平井:まず、私は新卒のとき、いずれ独立することを前提に就職しています。学生時代に大学祭などでリーダーシップを発揮することが面白いと感じていましたし、組織の一員として働き続けるタイプでもないと思っていたからです。

 就職先には、新京葉リクルート(現リクルート)を選びました。営業や人事を経験した後、リクルートの求人媒体に広告を取ってきてもらう販売代理店を支援する仕事に携わりました。この仕事の中で、代理店である第一広栄社(現デルタ)のオーナーと出会ったのが事業承継の始まりです。

 この会社は役員が2人、社員が20人ほどでした。オーナーは60歳くらいで、体の調子が思わしくなく、経営の前面に立つことができていませんでした。そのためか、引き継ぐまでの10年間で黒字は1期のみという経営状態でした。

 幸いバブル期に大儲けして、借金はありませんし、内部留保がありましたので、これを食い潰しながら存続していたような状況だったのです。

 オーナーとしては雇用を守るため会社を清算したくはない。とはいえ、親族や役員・社員の中に後継者となる人もいない。そこで第三者承継しかないということになったのだと思います。私はオーナーと出会って、3年後に同社の全株式を取得し、会社を引き継いでいます。35歳のときでした。

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