「経営者としての資質は不透明だが、ともあれ、我が子に会社を継がせたい」そんな承継の王道が崩れつつある。親族以外の有能な人材を社長に据える中堅・中小企業が増えているのだ。事例と成功の要点をリポートする。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

<特集全体の目次>
・事業承継ドクター協会 佐奈徹也氏 承継には「年齢表」を使う
・株式の承継に足かけ7年、社員への事業承継を成功させるには
・取引先の社員が赤字会社を承継、社員20人から500人へ事業を拡大
・事業承継の失敗談 私は有能な後継者候補の豹変に気づけなかった
・古田土経営 飯島社長「先代を立てることで事業承継はうまくいく」


 親族以外に会社を継がせたケーススタディーを紹介する前に、事業承継全体の中での位置づけや、親族外事業承継の初動について、事業承継をアドバイスしている専門家、佐奈徹也氏に聞いた。

さな・てつや
事業承継ドクター協会代表理事。古田土経営執行役員。2004年、古田土公認会計士・税理士事務所(現・古田土会計)入所。16年に事業承継部門、19年にM&A部門を立ち上げた。20年、一般社団法人事業承継ドクター協会を設立

 親族外事業承継は、今まさに増えてきているという印象です。

 私が主宰している、事業承継の研究会である一般社団法人事業承継ドクター協会の調べでは、今進行している中小企業の事業承継のうち、親族外承継が約3割に上ります。その内訳はM&A(合併・買収)だけでなく、社員への承継事例も増えています。少子化などが背景にあるのでしょう。

事業承継ポジショニングマップ
<span class="fontSizeL">事業承継ポジショニングマップ</span>
出所:事業承継ドクター協会
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 上に掲載した図は、横軸は事業承継が親族内か親族外かを、縦軸は現社長が65歳より上か下かを示しており、事業承継の形を大きく4つに分類したものです。

 親族外承継では、図の右上に分類される、現社長が高齢であるBタイプが多いのが実情です。このタイプでは株式譲渡、M&A、ホールディング会社の活用、種類株式の導入、自己株式の買い取りといった検討事項があります。

継がせる者の思いを確認

 親族外承継の場合は、誰に継がせるのか、どのような手法を使って承継を成功させるのかという選択肢がかなり多くあります。そのため、継がせようとする現社長が、どのような承継の形を望んでいるのかというイメージを早い段階で明確にしたいところです。

 そこでまず、あなた(現社長)が、もし明日から会社に行けなくなったとしたら、会社であなたの代わりに誰が仕事をしてくれているか、想像してみてください。

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