コロナ恐慌が過ぎ去るまでただ待っていたら、会社は弱体化する。売り上げを確保するには、今までと異なる動きをしなければならない。
 必要以上のこだわりを持つことは、今のような非常時には命取りになる。コロナ後の成長も見越した「ビジネスモデル大改革」に着手しよう。顧客ニーズを頼りに自社の業容を広げてきた「幼稚園業界の雄」、ジャクエツの事例に学ぶ。

ジャクエツの概要

所在地|福井県敦賀市

創業|1916年

社員数|655人

売上高|199億3400万円(2019年7月期)

 恐慌下でも経済は動く。ただし会社によっては売り上げがガタ落ちするため、今まで通りの商売を続けていては終わる。必死にもがいて新たな顧客ニーズを探し、そこに食らいつくしかない。

 では、どのように食らいつくか。ジャクエツ(福井県敦賀市)という会社を例に考えてみたい。

 ジャクエツの強みは、顧客である幼稚園や保育園に対して一気通貫で商品・サービスを提供できる総合力にある。色紙やクレヨン、教材などの室内用品、ジャングルジムや滑り台などの遊具、さらには園舎の設計や、経営のアドバイスまで手がけている。

 この総合力が幼稚園から大きな支持を集める。「約4万施設と言われている幼稚園や保育園、こども園のうち、約2万5000施設と取引がある」(徳本達郎社長)。まさに業界のガリバー企業。幼稚園の若い先生の間でも、ジャクエツの名を知らぬ者はまずいない。

 業績も好調だ。2019年7月期の売上高は前期比2%増の199億3400万円。経常利益は同1.5%増。コロナ恐慌下の今期も売上高、経常利益ともに前期並みの水準を見込んでいる。

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