「ここまで社員が会社に不満を持っていたとは……」
思わぬ現実を突きつけられて、ショックを受ける経営者。

新型コロナウイルス感染拡大による、従業員の健康面への影響が懸念されている。
強まる不安感、運動不足や食生活の乱れで起こる体調不良。
そこに日々の業務の負荷が積み重なる。
経営者が知らぬ間に、従業員はじわじわと追い詰められていく。
もっとこうしてほしい、ああしてほしいという従業員の心の声は経営者に届かない。

そんなときに有効なのは、組織(従業員)の状態を可視化することだ。
従業員満足度(ES)などを調査し、体調不良や離職につながる課題に手を打っていく。
調査結果には従業員の「状態」や「本音」が如実に出る。
それは大抵、経営者の認識とは大きくかけ離れた「思わず目をそらしたくなるもの」だったりする。
そんな経験をしながらも、働きやすい「健康的な職場」を目指して取り組んでいる企業もある。
今、まさに必要な「従業員ケア」についてのヒントを探っていく。


(写真/PIXTA)
(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・なぜ社員はある日突然、静かに辞めていくのか?
・社員の〝笑顔レベル〟を知りたくて
・「離職率1%」の会社がしている社員ケアとは(5月17日公開)
・「社食」で気遣う気持ちが社員に届く(5月18日公開)



1つ20円から買える国民的チョコレートといえば、チロルチョコ。創業100年以上の歴史を持つ老舗菓子メーカーの4代目、松尾裕二社長は、従業員満足度の調査結果にショックを受ける。そこから何をしたのか。

<span class="fontBold">松尾裕二[まつお・ゆうじ]社長</span><br />1986年生まれ。立教大学経済学部卒業後、コンサルティング会社に2年間勤務。2011年、父親が3代目を務めるチロルチョコ(東京・千代田)に入社。販売、開発、製造の部長を経て、17年に同社および松尾製菓(企画・販売部門はチロルチョコで、製造・物流部門は松尾製菓)の社長に就任。社員数はグループで約190人(写真/菊池くらげ)
松尾裕二[まつお・ゆうじ]社長
1986年生まれ。立教大学経済学部卒業後、コンサルティング会社に2年間勤務。2011年、父親が3代目を務めるチロルチョコ(東京・千代田)に入社。販売、開発、製造の部長を経て、17年に同社および松尾製菓(企画・販売部門はチロルチョコで、製造・物流部門は松尾製菓)の社長に就任。社員数はグループで約190人(写真/菊池くらげ)

2017年にチロルチョコおよび松尾製菓の4代目となった松尾社長は、就任後、さまざまな社内改革をしていると聞きました。19年にはES(従業員満足度)の調査もしたとか。きっかけを教えてください。

松尾:時系列でお話をすると、最初にやろうとしたのは、会社のミッション(使命)やビジョン(未来像)をつくることでした。

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