「ここまで社員が会社に不満を持っていたとは……」
思わぬ現実を突きつけられて、ショックを受ける経営者。

新型コロナウイルス感染拡大による、従業員の健康面への影響が懸念されている。
強まる不安感、運動不足や食生活の乱れで起こる体調不良。
そこに日々の業務の負荷が積み重なる。
経営者が知らぬ間に、従業員はじわじわと追い詰められていく。
もっとこうしてほしい、ああしてほしいという従業員の心の声は経営者に届かない。

そんなときに有効なのは、組織(従業員)の状態を可視化することだ。
従業員満足度(ES)などを調査し、体調不良や離職につながる課題に手を打っていく。
調査結果には従業員の「状態」や「本音」が如実に出る。
それは大抵、経営者の認識とは大きくかけ離れた「思わず目をそらしたくなるもの」だったりする。
そんな経験をしながらも、働きやすい「健康的な職場」を目指して取り組んでいる企業もある。
今、まさに必要な「従業員ケア」についてのヒントを探っていく。

(写真/PIXTA)
<特集全体の目次>
・なぜ社員はある日突然、静かに辞めていくのか?
・社員の〝笑顔レベル〟を知りたくて(5月14日公開)
・離職率1%を生む「新人ケア」(5月17日公開)
・「社食」で気遣う気持ちが届く(5月18日公開)



 なぜ、社員はある日突然、静かに辞めていくのか。全国で洋服の補修サービスを展開するビック・ママ(仙台市)もそんな悩みを抱えていた。守井嘉朗社長がコロナ下でたどり着いた結論を語ってもらった。

ビック・ママの守井社長

 朝、出勤すると、専務を務める妹の姿が見えませんでした。社員に尋ねると、急に東京出張に行くことになったという。なにげなく専務の机の上を見ると、「退職届」と書かれた便せんが3通置いてある。ああ、このために東京に行ったんだと瞬時に分かりました。

 名前を見ると、3人とも社内で重要な役割をしてくれている社員でした。彼らに愛想を尽かされるような職場をつくった自分を恥じるとともに、専務はどんな気持ちで東京に向かったのかが痛いくらいに分かるのでつらかった。

 専務が3人の社員に会って何をするかというと、まず、どんな不満を抱えていたのか、本音を聞き出す。そして辞めてもらっては困るので、必死に慰留する。2つのことを今日1日でしなくてはならない。それも3人同時にです。

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