新型コロナウイルスの影響が1年以上続くことが見えてきた。こうした状況に直面する中小企業の経営者は、どんな視点を持って資金繰りを考えるべきなのか。約2300社の中小企業を顧客に持つ古田土会計の古田圡満代表、企業再生支援を10年以上手がけるMODコンサルティングの金子剛史社長の2人にそれぞれの見方を聞いた。

あらゆる手段で資金を確保しよう
古田土会計 古田圡 満 代表


<span class="fontBold">こだと・みつる</span><br> 1952年生まれ。83年、東京・江戸川で古田土公認会計士税理士事務所(現古田土会計)を開業。経営指導と会計指導を両輪に、約2300社の中小企業を顧客に抱える(写真/鈴木愛子)
こだと・みつる
1952年生まれ。83年、東京・江戸川で古田土公認会計士税理士事務所(現古田土会計)を開業。経営指導と会計指導を両輪に、約2300社の中小企業を顧客に抱える(写真/鈴木愛子)

 新型コロナウイルスによる不況が長引きそうです。まず困るのは、売り上げ減少に伴って粗利が減ること。固定費が賄いきれず、粗利との差額が赤字となります。

 人件費や家賃といった固定費は売り上げがゼロでも発生します。まずはどれだけ赤字になるかを算出してください。資金の不足額は思うほど大きくないはずです。

 売上高十数億円の会社が数千万円の赤字を出したとしても、それによる資金の減少は融資でほぼカバーできます。コロナ対策の融資制度の1つ、日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」や会社で加入している保険の契約者貸し付け(解約払戻金の一部を貸してくれる仕組み)などで、3000万~5000万円を調達できます。

 それに、売り上げが減ると、売掛金も在庫も減るので、その分は資金の余裕が出ます。

返済額を具体的に計算してみる

 次に考えるべきは、あらゆる調達手段を駆使して手元資金を厚くすることです。先ほど例に挙げたように、経営者が保険に加入していれば、商品によっては解約払戻金の範囲で資金を借りられます。

 セーフティネット貸付のような緊急融資も手続きを踏めば、審査を通ることは難しくないでしょう。私の指導先も、飲食店1店を運営する会社で3000万円の緊急融資が認められました。条件は据え置き期間(元本の返済猶予)が1年、返済期間は10年でした。

 ただし金融機関は融資を認めても、返済期間をできるだけ短くしようとします。会社の先行きがどれだけ厳しいか、手元資金はどれだけ少ないかをはっきり主張し、1年以上の据え置き期間や、10年以上の返済期間の設定を訴えてください。金融機関の言う通りではなく、自社の資金繰りを少しでも安定させるために一歩も引かず交渉してください。

 借り入れ増加に不安を感じる社長は具体的に計算してみるとイメージが湧きます。3000万円を借りて10年で返す場合、年利1%なら毎月の金利負担は約2万5000円。交際費を削れば十分賄えるでしょう。毎月の元本返済額は約25万円になります。

 さらに、手元資金を確保するため、定期預金は解約します。金融機関から「解約は融資判断に影響する」と言われている社長も多いと思いますが、今のような緊急時には解約してすぐ使えるようにしておくべきです。

支出カットは役員報酬削減から

 最後は支出を減らし、確保した手元資金をできる限り長持ちさせることを考えます。

 支出カットで真っ先に検討すべきは役員報酬の削減。親族の役員報酬も減らします。通常はあらかじめ定めた報酬額は変更できませんが、コロナショックで売り上げが激減しているような緊急時には認められます。固定費を下げるため、家賃などの減額・支払猶予、広告宣伝費の圧縮も進めます。

 それでも不足したら、社員の賞与減額などを検討します。役員報酬を真っ先に削るのは、こうした社員のコストカットを納得してもらうためでもあるのです。ここまですれば、1年程度の不況は耐えられるはずです。

続きを読む 2/2 作りためて工場を休む

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