後を継いだオーナー経営者に、自身の経験から得た「後を継いだ経営者がやるべきこと、やるべきではないこと」を語ってもらう連載。今回は、梅乃宿酒造の吉田佳代社長。

 梅乃宿酒造は1893年に奈良県葛城市で創業した酒蔵です。私は4代目の長女で、2013年に5代目社長に就任しました。生家と蔵は隣接していたので、従業員の方々は家族のような存在。学生時代から家業に携わりたいという気持ちは持ち続けていました。

 大学卒業後は一度、社会人経験を積もうと、まずは商社に入りました。営業希望だったのですが、配属先は総務。内心ショックを受けていた私に、当時の上司からこんな言葉をかけられました。「総務とは社内向けの営業職と言い換えてもいい。重要な仕事だよ」と。その商社には3年弱勤めました。

 今もこの経験は生きています。社長の仕事は「決めること」と「みんなが気持ちよく働ける環境づくり」の2つ。特に後者は総務の仕事に通ずるものがあります。

 社長に就任してからは伝統産業にありがちな、旧態依然とした仕組みの改革を進めてきました。大手企業と比べると、梅乃宿酒造は福利厚生や給与制度などでルール整備が不十分な面がありました。多様な人材を集めて若い人が長く働き続けてくれる会社であるには、出稼ぎの蔵人が酒造りをしていたころのような古い仕組みのままではいけません。

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