大阪の天王寺駅から車で10分ほどの位置にあるミシンメーカー、アックスヤマザキは、規模を縮めながらも堅実経営を続けてきた。新型コロナ下ではミシン特需の追い風を最大限に受けて、前期比で売上高2.5倍を記録。営業利益率は25%に達した。市場縮小下で堅実な財務体質を保ち、新規市場を掘り起こす。今後の縮小が確定している国内市場で戦う中小企業の手本の1つがここにある。

(写真/菅野勝男)

<特集全体の目次>
・営業利益率25%、中小ミシンメーカーの「拡大を追わない」経営
・無借金でも製品数削減・工場閉鎖 縮む市場で勝つ中小の戦略
・「子育てにちょうどいいミシン」がコロナ下で大ヒットした理由
・アックスヤマザキ社長「市場縮小は必ず起きる。継続性第一の経営を」


 粗利益率低下の要因は、OEM製品の収益性の低さ。1製品ずつ見極め、100種から30種まで整理した。未知の玩具市場で成功を収めても、原価改善の手を止めなかった。

 山﨑一史社長が取り組んだ粗利益率アップ施策の1つは、OEM製品と自社製品の比率の逆転だ。社長就任直前の14年時点では、OEMが全体の63%を占めた。

自社製品の増加と
OEM製品削減を同時に進めた

 OEMは先代の経営戦略の柱だった。債務超過で会社を継いだ前社長は、創業以来の「日本で生産し輸出する」モデルから「海外で生産し国内に売る」モデルに切り替えた。自ら台湾の製造拠点を開拓し、大口のOEM生産を受注し、V字回復と無借金経営を実現した。

 社長の名を冠し累計40万台以上を販売した「山﨑範夫の電子ミシン」も、ある通販会社が発注したOEM製品(その後、通販会社の方針変更で現在はアックスヤマザキの自社製品)だった。

 ただ、自社製品を出すからには売れなければいけない。山﨑社長が目をつけたのが、「おもちゃ」としての子供用ミシンだった。山﨑社長は社長就任前から、子供用ミシンの展開を考えていた。12年には既存の流通経路で販売するも、ほとんど売れなかった。

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