大阪の天王寺駅から車で10分ほどの位置にあるミシンメーカー、アックスヤマザキは、規模を縮めながらも堅実経営を続けてきた。新型コロナ下ではミシン特需の追い風を最大限に受けて、前期比で売上高2.5倍を記録。営業利益率は25%に達した。市場縮小下で堅実な財務体質を保ち、新規市場を掘り起こす。今後の縮小が確定している国内市場で戦う中小企業の手本の1つがここにある。

(写真/菅野勝男)
(写真/菅野勝男)

<特集全体の目次>
・営業利益率25%、中小ミシンメーカーの「拡大を追わない」経営
・無借金でも製品数削減・工場閉鎖 縮む市場で勝つ中小の戦略
・「子育てにちょうどいいミシン」がコロナ下で大ヒットした理由
・アックスヤマザキ社長「市場縮小は必ず起きる。継続性第一の経営を」


 市場が25年で3分の1に縮小する中、粗利益率の改善を進めてきた。規模拡大を後回しにするのは、継続性が優先事項だからだ。アックスヤマザキの戦略は現代日本で生き抜く知恵にあふれている。

 社員数18人、パートなどを入れても25人に満たないミシンメーカー、アックスヤマザキ。2020年3月に発売した、ミシン初心者かつ子育て世帯に的を絞った「子育てにちょうどいいミシン」は5万台を超えるヒット商品となり、経済産業省の2020年度グッドデザイン賞でも金賞を受賞した。

(写真/菅野勝男)
(写真/菅野勝男)

 アックスヤマザキの好調は、先代から続く堅実な経営と、山﨑一史(かずし)社長が見せる新製品開発への執念が実を結んだ結果だ。

 日本縫製機械工業会が財務省や経産省の統計を基に推定するミシンの国内販売市場は、1995年で約159万台。そこから減少の一途で2019年には52万台と、3分の1程度まで落ち込んでいた。国内生産台数も1970年前後には約400万台あったが、近年は5万台前後にとどまる(経産省「生産動態統計」による)。

出所:財務省、経済産業省、日本縫製機械工業会の資料などを基に本誌作成
出所:財務省、経済産業省、日本縫製機械工業会の資料などを基に本誌作成
続きを読む 2/2 営業利益率は25%超

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