
自分の失敗談というのはいささか気が引けますが、皆さんの失敗を一つでも少なくするために、恥を忍んで今回もお話しします。駆け出しのM&Aアドバイザーだった私を退職寸前に追い込んだ、今も思い出したくもないトラブルです。
20年以上前、ある金属精密加工会社のM&Aのお手伝いをしたことがあります。年商約10億円で5000万円以上の利益を出している優良企業でした。
トラブルが表に出たのは、M&Aが終わって3カ月後のこと。深夜に買い手からの電話があり、「どんなことがあっても、翌朝6時に来てほしい」と言われました。それだけでも事の深刻さが分かろうというものですが、トラブルの内容を聞いて身が凍りました。それは、「売り手の会社が洗浄液の不法投棄をしており、工場の敷地に土壌汚染があることが分かった」というものだったのです。
当時、その工場では適切に廃液を処理していました。ところが20年ほど前までは、敷地内に穴を掘って廃液を処分していたことが分かったのです。
実際問題、昔から切削加工やプレス、研磨、表面処理などをしていた企業には、土壌汚染の問題は常につきまといます。
しかも面倒なのは、過去に行っていたことに起因しているので、現状の確認だけではリスクを把握できなかったことです。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1007文字 / 全文1549文字
-
【春割】日経電子版セット2カ月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
【春割/2カ月無料】お申し込みで
人気コラム、特集記事…すべて読み放題
ウェビナー・音声コンテンツを視聴可能
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?