自分の失敗談というのはいささか気が引けますが、皆さんの失敗を一つでも少なくするために、恥を忍んで今回もお話しします。駆け出しのM&Aアドバイザーだった私を退職寸前に追い込んだ、今も思い出したくもないトラブルです。

 20年以上前、ある金属精密加工会社のM&Aのお手伝いをしたことがあります。年商約10億円で5000万円以上の利益を出している優良企業でした。

 トラブルが表に出たのは、M&Aが終わって3カ月後のこと。深夜に買い手からの電話があり、「どんなことがあっても、翌朝6時に来てほしい」と言われました。それだけでも事の深刻さが分かろうというものですが、トラブルの内容を聞いて身が凍りました。それは、「売り手の会社が洗浄液の不法投棄をしており、工場の敷地に土壌汚染があることが分かった」というものだったのです。

 当時、その工場では適切に廃液を処理していました。ところが20年ほど前までは、敷地内に穴を掘って廃液を処分していたことが分かったのです。

 実際問題、昔から切削加工やプレス、研磨、表面処理などをしていた企業には、土壌汚染の問題は常につきまといます。

 しかも面倒なのは、過去に行っていたことに起因しているので、現状の確認だけではリスクを把握できなかったことです。

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