埼玉県で優良企業として名が知られた焼きとり店。関係者が危ぶむほどの積極投資で、30を超える居酒屋などを出店するも、相次ぐ撤退が大きな重荷となり、2019年に経営は行き詰まった。

地域経済をリードし、成長性が見込まれる中核企業──。経済産業省がこう認定する「地域未来牽引企業」は、国の期待を受けた優良企業として周囲から一目置かれる。その顔ぶれには、崎陽軒(横浜市)やモンベル(大阪市)といった全国に知られる会社も並ぶ。
この地域未来牽引企業に認定された埼玉県の会社が、2019年8月、民事再生手続きを申し立てて関係者を驚かせた。会社の名前はひびき(埼玉県川越市)。鶏肉や豚肉の串料理を提供する焼きとり居酒屋やテークアウト店などを、当時30店展開していた。
ひびきの売りは居酒屋事業の本店を置く東松山市の名物、味噌だれを使った豚肉の串焼き「みそだれやきとり」だ。埼玉県のブランド豚肉「彩の国黒豚」など県産品を積極的にメニューに採用するなど郷土愛が強いことでも知られる。
そんな地元密着の会社が突然の経営破綻を迎えた。約12億円の売上高に対して約77億円と巨額の負債が当時報じられ、さらに粉飾決算や多重リースも発覚した。

左上:東松山駅前本店。この東松山で、かつて祖父が養豚と養鶏を始め、父が飲食店を経営した
左下:焼きとりをテークアウト店で買うのも地元ではおなじみ
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