独自の商店街活性化策を始めた和歌山市。企業の農業参入を認めた兵庫県養父(やぶ)市。人口は減っても、企業の力で地域の活力を上げて稼ぐ仕組みをつくった。小さな循環経済が、さまざまな地方にでき始めている。
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和歌山市の商店街はイベントを催すと多くの人が訪れるようになった

 人口減にも町によってさまざまなパターンがある。その1つの典型が、最近はあまり聞かなくなった企業城下町の衰退だろう。

 数万人規模の従業員を抱える大企業の工場がある町は、その企業や多数の系列企業の社員、そしてその家族で、人口の相当部分を占められてきた。ところが、1990年のバブル崩壊以後の日本経済の停滞による生産減や、円高を回避するための海外移転などで、多くの大企業の国内工場は規模を縮小し続けてきた。それによって企業城下町はさびれてきたのだ。

 和歌山県の県庁所在地、和歌山市もそんな城下町の1つだった。

 「80年代半ばには、住友金属工業(現・日本製鉄)の製鉄所とその関連企業の従業員が3万人といわれたが、最近は1万人程度。この影響が大きかった」(和歌山市都市再生課の榎本和弘氏)。82年末に40万2900人だった和歌山市の人口は、2018年末は35万7300人へと11.3%も減った。

 これと並行して進んだのが、商店街を初めとした中心部の空洞化。県境を越えると車で30分ほどで着ける関西国際空港近くに2000年、大型モールが出来たのを皮切りに、次々大型店が開業した。かつては計500店もあった「ぶらくり丁」など、中心6商店街の店舗数は17年には164店まで減り、全国によくあるシャッター街になってしまった。

 この苦境をどう乗り越えるのか。和歌山市が取り組んだのは、企業誘致で人口を増やしたり、子供の学費や医療費補助で子育て世代を他市町村から呼び込んだりする無理な人口増加策ではなかった。

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