M&Aで新事業を確保

 原材料や人件費が低いとすれば、あとはそれを生かす経営力の問題。事業を興し、育てる仕組みでもコストを抑え、リスクを下げることができれば、人口減の弱点はほとんどカバーできる。

 菅原社長が親子2代にわたって取り組んできたのは、新たな事業に参入する際に、地元や近県の専門企業をM&A(合併・買収)することだった。

 03年のイカソーメン参入の際には、秋田県の水産加工会社を買収。06年にはきのこの種菌会社を傘下に収めてなめこ事業に入った。そして18年には、地元こんにゃくメーカーを買収して、新たな事業進出の足がかりをつくった。

 後継者がいない会社のM&Aはここ数年、中小企業でも活発になってきたが、新事業を立ち上げるための買収は00年代初めはまだ少なかった。まして地方では極めて珍しかった。狙いは「専門会社を買収することでスピード感を持って参入するため」(菅原社長)。

菅原冷蔵の菅原社長は、地方の強みを生かし、「売上高10億円」でトップになれるニッチ市場だけを攻める
菅原冷蔵の菅原社長は、地方の強みを生かし、「売上高10億円」でトップになれるニッチ市場だけを攻める

 実は父親の昌一氏の時代から「10億円程度の売り上げでシェアトップになれるニッチ市場だけを対象にすること。そして、参入したら数年で日本一のシェアを取ることを大方針にしてきた」と菅原社長は言う。大手が参入してこない分野で独自の強みをつくり、勝ち残る戦略である。

 そのため、買収した企業の技術に本業の冷凍・冷蔵技術を組み合わせて独自の付加価値を生み出すことにもこだわった。保冷剤では、大手は小型の保冷剤パックを常温で、中身が液状のまま出荷することがほとんどだが、菅原冷蔵は冷凍にしてすぐ使える形で出荷。大根おろしは水分量の多いものから少ないものまで多様な商品を開発し、冷凍で出す。なめこも冷蔵などで保存状態をよくすることに力を入れているという。

 あるいは、地方だと物流コストが高くなると思われがちだが、「物流会社にとって、当社は地域に顧客が少ない中でまとまった荷量のある存在になるので、交渉がしやすくなる」(菅原社長)とも言う。これもまた、地方にいるからこその逆転の仕組みづくりだ。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り2896文字 / 全文5003文字

【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「日経トップリーダー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

2/22ウェビナー開催、ウクライナ侵攻から1年、日本経済「窮乏化」を阻止せよ

 2022年2月24日――。ロシアがウクライナに侵攻したこの日、私たちは「歴史の歯車」が逆回転する光景を目にしました。それから約1年、国際政治と世界経済の秩序が音を立てて崩壊しつつあります。  日経ビジネスLIVEは2月22日(水)19時から、「ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済『窮乏化』を阻止せよ」と題してウェビナーをライブ配信する予定です。登壇するのは、みずほ証券エクイティ調査部の小林俊介チーフエコノミストです。世界秩序の転換が日本経済、そして企業経営にどんな影響を及ぼすのか。経済分析のプロが展望を語ります。視聴者の皆様からの質問もお受けし、議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。 

■開催日:2023年2月22日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:ウクライナ侵攻から1年 エネルギー危機は23年が本番、日本経済「窮乏化」を阻止せよ
■講師:小林俊介氏(みずほ証券エクイティ調査部チーフエコノミスト)
■モデレーター:森 永輔(日経ビジネスシニアエディター)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。