「日経トップリーダー」2020年4月号の特集「コロナ危機下のBCP」。本記事ではその中から、中小企業庁が推進している“簡易版BCP”の作成手順に沿い、BCPの基本的な考え方を紹介する。(前回〈2〉はこちら

 事業継続計画(BCP)に注目が集まっている。しかし、従来は中小企業にBCPがなかなか浸透せず、災害時などのサプライチェーンの維持が危ぶまれていた。

 その状況を変えるため、中小企業の事業継続力を高めることを狙った「中小企業強靱(じん)化法」が昨年7月に施行された。

 ここでは、同法に基づいて中小企業庁が導入を推進している“簡易版BCP”の作成手順に沿い、BCPの全体像を紹介しよう。

簡易版でBCPを理解

 BCPの検討は下図のような5つのステップで進めていく。

BCP(事業継続計画)とは何かを理解しよう
事業継続計画のアウトライン
<span class="fontSizeM">BCP(事業継続計画)とは何かを理解しよう</span><br> <span class="fontSizeS">事業継続計画のアウトライン</span>
出所:中小企業庁『事業継続力強化計画策定の手引き』(2019年12月11日版)などを基に編集部で作成
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 まず、ステップ1は何のために事業継続を目指すのか、その目標を定める。「社員・顧客の人命を守る」「経済・社会への影響を軽減する」といった目標を立てる。緊急時に自社の事業をどのレベルで継続するのかが明確になる。

 事業継続の目標は企業の経営理念に当たる。この段階以降に具体的な内容を定める基礎となるので、じっくり検討したい。

 ステップ2では、自社がどのような災害で被害を受けるリスクがあるのかを確認する。

 地震、台風、河川の増水といった自然災害、感染症の発生、仕入れ先の倒産による原料の供給ストップなど、洗い出してみると思わぬリスクがあることが分かる。

 地震・水害など自然災害のリスクを把握するには、地方自治体などが作成するハザードマップを入手する。地元自治体のウェブサイトで実際のマップを入手すると具体的なイメージが湧くはずだ。

 工場が各地に点在する場合などは、国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」などで各地の情報を探せる。

 コロナ危機下のBCP(1)で紹介したガス供給会社の北良のように、商品・サービスを届ける顧客がどんな地域に住んでいるかをハザードマップで確認し、浸水した場合に使う水上バイクなどを備える会社もある。

 感染症については、新型インフルエンザ流行時の情報などを厚生労働省・地元自治体のウェブサイトで調べ、被害想定をしておく。

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