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「日経トップリーダー」2020年4月号の特集「コロナ危機下のBCP」から、事業継続を考えた取り組みを実践し、経営力強化に結びつけている企業の事例を紹介する。1社目は岩手県北上市で家庭用・産業用・医療用ガス供給を手がける北良。スーツのポケットに入る手帳サイズの経営計画書にBCP(事業継続計画書)の役割を持たせ、毎日の朝礼で重要事項を覚えるためのドリル演習を行うなど、生きた事業継続活動を実施している。(前回〈総論〉はこちら

北良の笠井社長。倉庫には水陸両用車、災害支援車両などさまざまな設備を蓄えている(写真/尾苗 清)
北良の概要

業 種:家庭用・産業用・医療用ガス供給
設 立:1975年
売上高:16億7000万円 (2019年5月期)
従業員数:70人

 「社内の非常用大型発電機は『動力用』『電灯用』『動力用・電灯用(切替式)』の3台あります。それぞれの定格出力として正しい値を選びなさい」

 家庭用、産業用、医療用のガス供給をする北良(岩手県北上市)では、朝礼の終わりに緊急対応に必要な知識を社員に定着させるドリル演習を毎朝実施している。

朝礼で事業継続の知識を浸透させるドリルを実施。解答を交換して答え合わせする(写真/尾苗 清)

 冒頭の一文はドリルの出題例だ。その場で解答用紙を配り、隣に立っている社員と答え合わせをする。互いに苦手な分野を知って教え合うことで社員同士のコミュニケーションが深まり、緊急時の連携がしやすくなる。

 北良が事業継続に力を入れるのは、ガス供給が主力事業であることが大きい。LPガスのような燃料用のほか、病院や家庭で療養する患者に酸素を届ける仕事もしている。北良は地域のライフラインを担っているという意識の下、地震や水害、感染症拡大などの緊急事態が起きたときに、どう事業を継続するかを日々見直している。