「スーツに見える作業着」と聞いてピンと来る人も多いだろう。最近よくメディアで取り上げられるそのヒット商品をつくったのが、オアシスライフスタイルグループ。15年間でアパレルを含め3つの事業をゼロから育て、現在グループ合計で社員約200人、売上高42億円。IT企業なら急成長も珍しくないが、同グループは水道工事から、飲食業、アパレル業と拡大してきた。ユニークな事業展開を可能にする経営の強みを探った。

(写真提供/オアシスライフスタイルグループ)
(写真提供/オアシスライフスタイルグループ)
<特集全体の目次>
・春水堂にアパレル、水道工事業の後継ぎがヒット連発の秘訣
・オアシスG関谷CEO「やれと言われた仕事はやっぱり続かない」
・「スーツに見える作業着」産んだ社風 夢中になれる場を提供する


 関谷CEOの「社員は友達」という言葉は、意味深長である。

 経営者の多くは孤独だと言われる。部下やメンター(助言者)はいても、「友達=尊敬しつつも気遣いなく本音をぶつけ合える相手」がいないからではないか。関谷CEOにとっては、本当に社員も友達なのだろうか──。

 オアシスティーラウンジ社長の木川氏は、13年に同社に「マネージャー」として中途入社している。木川社長は関谷CEOとの間柄をこう語ってくれた。

オアシスティーラウンジの木川社長。関谷CEOとは言葉の応酬合戦をしているという(写真提供/オアシスライフスタイルグループ)
オアシスティーラウンジの木川社長。関谷CEOとは言葉の応酬合戦をしているという(写真提供/オアシスライフスタイルグループ)

 「春水堂の経営について、周りからはまたけんか!? と心配されている様相で、言葉の応酬合戦。どちらも譲らない」。日ごろの雑談でも、関谷CEOから聞きたいことを聞かれ、これに受け応えしている中で、反論を予見できても、言うべきことは言うそうだ。

 議論して「一度決まれば、後で口を出されることはない。二人は同志という関係かもしれない。私への信頼について言えば、私のこれまでの実績にあると思う」。

 関谷CEOが台湾で春水堂に出合って3年後、海外進出はしないと決めていたオーナーに熱意が伝わり、東京・渋谷に第1号店をオープンする。ところが開業日こそにぎわったものの、その後3年間は簡単には軌道に乗らなかった。

 その春水堂で、台湾茶だけでは弱いと、おにぎりやロールケーキを出すなど試行錯誤し、麺類を出すようになってお客をつかみ、多店舗展開も果たしたのが木川氏だ。

 関谷CEOは、地元の著名進学校に入学するが自称〝不良〟になり、補欠で中堅私立大に入学、イベントサークルを立ち上げ、派手な学生生活を送るも実家に帰り苦労した、という青年時代を過ごした。「採用では、回り道をしてきた人や、よく笑うとか、酒が好きとか、楽しいことが好きそうな人を探している」(関谷CEO)。

続きを読む 2/3 社風をつくる制度もある

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