「スーツに見える作業着」と聞いてピンと来る人も多いだろう。最近よくメディアで取り上げられるそのヒット商品をつくったのが、オアシスライフスタイルグループ。15年間でアパレルを含め3つの事業をゼロから育て、現在グループ合計で社員約200人、売上高42億円。IT企業なら急成長も珍しくないが、同グループは水道工事から、飲食業、アパレル業と拡大してきた。ユニークな事業展開を可能にする経営の強みを探った。

(写真提供/オアシスライフスタイルグループ)
<特集全体の目次>
・春水堂にアパレル、水道工事業の後継ぎがヒット連発の秘訣
・オアシスG関谷CEO「やれと言われた仕事はやっぱり続かない」
・「スーツに見える作業着」産んだ社風 夢中になれる場を提供する(4月21日公開)

関谷有三(せきや・ゆうぞう)氏
オアシスライフスタイルグループ代表取締役CEO。1977年栃木県宇都宮市生まれ。2001年成城大学卒業後、関谷工業入社。06年独立し、オアシスソリューション設立。10事業の展開、10カ国への進出、売り上げ1000億円のグループ企業を目指している(写真/清水真帆呂)

それにしてもいろいろな事業を成功させていますね。どんな経営をしているのですか。

関谷有三氏(以下、関谷):まず言っておきたいことは、人は、やれと言われてする仕事はやっぱり続かない、ということなんです。

 06年に起業して3年ぐらいがたち、水道事業の全国展開も始まっていて、従業員も70人ほどになっていた頃の話ですが、会社の業績が伸びていけば伸びていくほど、社員の離職率が高くなっていったんです。30%にもなりました。

 辞めた社員から、ネットに辛らつな書き込みをされるといったこともあって、これはもう何か、自分にとって望むべき結果じゃないことが起こっているな、と思うようになりました。

 このとき僕は〝厳しい社長〟だったんです。とにかく売り上げ至上主義でした。

 新しい水道工事の事業で家業を立て直し、さらに起業して会社を大きくしているという自信がありましたので、社員はなぜ僕のようにできないんだと思いながら、工事の職人も営業の人間に対しても、追い詰め、びびらせ、従わせて、仕事をさせていたんです。

 売り上げを伸ばすことに固執していたのは、この頃、周りでIT企業が華やかに登場したりしているという中で、僕もこれに続きたい、水道屋だけれど、みんなを見返してやりたいみたいな思いがあったり、会社が成長していくときの次のステップは上場だなと考え、それを目指していたりしたからです。上場の確度もかなり上がってきていました。

 そのような状態のときに11年の東日本大震災が起こりました。

 一時的ではありますが、売り上げは激減して、上場のスケジュールも白紙になりました。そのときは、震災で崩れたマンションの外壁を補修するといった緊急性の高い工事が優先され、うちの水道管を洗浄する仕事は延期やキャンセルになったのです。

続きを読む 2/4 「社員は友達だ」ってこと

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