大村浩一(おおむら・こういち)
1987年兵庫県生まれ。2010年東京大学法学部卒業。みずほ銀行を経て、14年西松屋チェーンに入社。19年取締役執行役員社長補佐室長、20年1月に専務、同年8月から社長COO(最高執行責任者)。創業者の孫で、大村禎史会長CEO(最高経営責任者)の長男(写真/太田未来子)

Q. 「値下げロス」で3期連続の減益。営業利益率が1%台まで落ち込む中、どう立て直したか。

A. 仕入れや在庫管理を改善し、過去最高益を達成

 西松屋チェーンはここ数年、厳しい状況にありました。増収こそ達成していましたが、直近3期は減益でした。特に2020年2月期は大幅減益で、営業利益率が1%台まで落ち込みました。売り上げはかろうじて伸びているものの、利益が出ない体質になっていたのです。

 このまま手をこまぬいていたら、いつか赤字に転落してしまうという危機感がありました。私は19年1月に社長補佐室長に就任し、文字通り社長である父をサポートしながら、旗振り役として改革、改善を推進することになりました。

値下げロスが利益を圧迫

 利益毀損の原因は、季節商品の「値下げロス」でした。仕入れが過剰なため、大量に売れ残る。それをシーズン終わりに、大幅に値下げした金額で安売りしていました。これでは利益が大きく落ちるのも無理ありません。

 従来、商品をどれくらい仕入れるかは30人ほどの担当者がそれぞれ判断し、予算も担当者が決めた仕入れ額を追認するかたちで決まっていました。

 もちろん社員は闇雲に仕入れていたわけではありません。ただ、特にここ数年は、仕入れを増やして売り上げを伸ばすのが慣習になっていました。その結果、値下げ処分による利益の毀損が続いていたのです。

 これは、西松屋を全国区のチェーンに育て上げた父の時代から続けてきたやり方でした。店数が2ケタ、3ケタぐらいまでは問題なくても、1000店舗を超えると立ち行かない。「空振り」したときに、その影響が大きく数字に跳ね返ってくるからです。

 そこで、担当者任せの仕入れを見直すことにしました。予算部と私で担当者ごとの仕入れ予算枠を決め、必要な分だけ仕入れて、シーズン中に正規価格で売り切ることを目指したのです。

 担当者には「その枠内で売り上げと利益を伸ばすためのやり方を考えてください」と伝えました。

続きを読む 2/2 直感を信じて前進する

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