
1959年東京都生まれ。大学卒業後にサンリオ入社。25歳で結婚退社後、37歳で仕事復帰。2013年に東京大学大学院修士課程修了。14年サンリオエンターテイメントに顧問として入社。16年サンリオピューロランド館長、19年社長に就任(写真:鈴木愛子)
Q. パンデミックでテーマパークを休館。その決断の経緯、そしてどう克服しようとしているか。
A. 同じ苦難なら、「いい逆境」にしようと考えている
2月21日、新型コロナウイルスの感染症拡大防止のため、サンリオピューロランドを翌22日から臨時休館すると発表しました。
経営判断をする際はどんな場合も、私たちの会社は何のために存在しているのかに立ち返るようにしています。サンリオエンターテイメントとしては従業員とお客様に何かあったら笑顔でまた会えない。それが休館を決めた一番の理由です。
休館を最終的に決めたのは前日の夜です。マネジャー会議でみんなから意見を聞き、状況を踏まえた上で決定しました。
遅い時間だったので、社員にはメールやイントラネットを通じて伝えました。反対の声は一切なく、「それでこそ、私たち」という反応でした。
お客様も私たちの決断を応援してくださいました。「再開したら必ず行きます」「サンリオグッズをたくさん買って応援します」などの声は本当にありがたかった。
決断には勇気が要った
もちろん、休館は大きな決断でした。コロナ騒動が起きて以来、いざとなれば重大な判断を下さなければならないと思いながらも、「他の施設はどうするのだろうか」「国はなんと言うのか」と様子見する自分もいました。
そんなとき、背中を押してくれたのは、辻信太郎会長(親会社サンリオの創業者で社長)の「今の状況はただ事ではない。売り上げとか損得とか言っている場合ではないよ。長い目で見て、どうするかをよく考えなければいけないね」という言葉でした。
こう言われて、今やるべきことがはっきり分かりました。
最近強く思うのは、前例のない状況の中で大人たちがどんな振る舞いをするかを、次世代が相当冷静に見ているということです。
どの会社がどういう動きをしているのか、自分の親がどんな発言をして、どのような行動をしているのかをつぶさに観察しています。今回の決断は、ピューロランドの姿勢を示す上では最善だったと信じています。
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