そこからどういった経緯で社長に?

藤﨑:しばらく店長として現場で基礎的なトレーニングをしつつ商品開発をしていました。その後、15店舗を統括する東日本のエリアマネジャーを任されました。

 店舗を回ってスタッフに話を聞いたり、お客様を見たりすると、問題点がたくさん見えてくるわけです。全体の売り上げも芳しくない。居酒屋経営の経験から「この状態は非常にまずい」と思いました。

 なのに社内で効果的な改善策を議論できていない。経営会議も数字の報告会として終わる。ロゴやユニホームを変えて復活しようという大事な時期にですよ。

 せっかくここに入社したのに、この状況では困る。そう考えて、私を誘ってくれた本部の役員に電話をして「意見の言える立場にしてください」とお願いしました。忘れもしません。店舗巡回中の横浜駅構内でのことでした。

 役員の返事は「それは無理だよ、藤﨑さん。藤﨑さんはまだ何も数字を出していないよね」と。

 けれども、懲りずにその後も改善案を出しました。そうこうしていたら1カ月後、いきなり本部に呼び出されて「取締役になってください。ついては代表取締役です」と言われました。2018年8月、入社から10カ月後のことでした。

驚きですね。その後は?

藤﨑:斬新なメニューを担当者と一緒に次々開発しました。揚げたカニを丸ごと一杯挟み込む「丸ごと!! カニバーガー」を期間限定で販売したところ、これがSNSなどで話題になり大ヒット。ファッションブランドの「BEAMS」とコラボ商品を出したり、六本木でイベントをしたり。

 浅草花やしき店もコロナ下の20年9月にオープンし、今年の3月には千葉県の「市原ぞうの国」内にも新店舗を出しました。

コロナ下の2020年9月にオープンした「ドムドムハンバーガー浅草花やしき店」(左)。インパクト抜群で好評だった期間限定(21年5月末までを予定)「丸ごと!! カニバーガー」は、揚げたソフトシェルクラブを丸ごと一杯、挟み込んでいる(下)
コロナ下の2020年9月にオープンした「ドムドムハンバーガー浅草花やしき店」(左)。インパクト抜群で好評だった期間限定(21年5月末までを予定)「丸ごと!! カニバーガー」は、揚げたソフトシェルクラブを丸ごと一杯、挟み込んでいる(下)

 毎日がとても有意義で新しいチャレンジの連続です。

藤﨑社長とドムドムの熱狂的ファンで全身ドムドムコーデの通称どむじょさん(上)。彼女は、かばんもアクセサリーもドムドム(右)。全国の店舗を回り、インスタで店の感想もアップしている(下)
藤﨑社長とドムドムの熱狂的ファンで全身ドムドムコーデの通称どむじょさん(上)。彼女は、かばんもアクセサリーもドムドム(右)。全国の店舗を回り、インスタで店の感想もアップしている(下)

 そこで気づいたのは、ドムドムは熱狂的なファンに支えられていること。店舗数が多かった時代、幼少期をドムドムのハンバーガーで育った人が今、40、50代になっていて「絶滅危惧種を救おう!」と応援してくれています(笑)。

 一方で昔のドムドムのことを知らない若い子たちも「おいしい! かわいい!」とファンになってくれています。ネイルも含めて全身ドムドムコーデで身を固め、全国の店舗を回って感想をインスタグラムにアップしてくれる女の子もいます(右写真)。

 社長をやってみて分かりました。ドムドムはこれまで築き上げてきたブランドこそが何より大事なんだと。今、ドムドムに対する懐かしさや愛着が期待に変わっている。新しいファンもいる。そこをもっと伸ばしたい。

 店舗拡大も見据えていますが、それはあまり重要ではないと考えています。

そうした試行錯誤が結果にも表れていますね。20年3月期決算で売上高は前期比10%増で、赤字から黒字に転換。そんな藤﨑社長に聞きます。社長の条件、資質とはどのようなものでしょうか。

藤﨑:そうですね……。取材前からずっと考えていますが、はっきりとした答えは浮かんできませんでした。今は多様な時代です。企業もいろいろな形があります。だからその企業に適した多種多様なスタイル、タイプの社長であればいいと思います。

 あえて言うとすれば、「人を思いやれる人」でしょうか。例えばいつもは威張っていても、困っているときは守ってくれる、手を離さないでいてくれる。そんな人は社長としてふさわしい気がします。

 それと、社長だけでなく、どんな立場の人でも、自分が「夢中になること」は大事だと思います。

 そうですね、答えは「夢中」かもしれません。夢中になって働けば、従業員のこともお客様のことも大切に考えますよね。

 はい。私は今も夢中です(笑)。

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(この記事は、「日経トップリーダー」2021年4月号の記事を基に構成しました)

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