
前号に続いて、荻生徂徠(おぎゅうそらい)の『政談』を読んでみたい。彼がスゴイのは、今から300年も前に人間中心の視座から、実力主義の人材抜擢(ばってき)を目指そうとした点にある。その姿勢の根底には、中国古典の深い学びによって培われたバックボーンが凛(りん)として立っている。古くて新しい輝きが、今なお我々の心を照らすのである。
三、同じ意見の人を
いくら集めても
新しい知見は出てこない
これを人材がいないという
「自分と同じ意見で気が合う人だけを用いて悦に入っていてはダメだ。同じ考えの人が何人いても、結局は自分の意見と同じにしかならない。こういう状態を人がいないと言っているのだ」。徂徠の筆法は幕府の幹部に対して手厳しい。ただし、ここで大事なことは、進むべき方向・戦略は一致していなければならないという点。その上で、目標達成のやり方・戦術は状況によって変化してもよいという柔軟な考え方が前提にある。
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