新型コロナの影響が長引き、業績が苦しい会社は多いだろう。ただ、忘れてはいけないのは、コロナ禍はいずれ収まり、その際には、多くの生活様式、消費行動が元通りになる点だ。いずれ需要回復期が訪れる。そこに照準を合わせて、仕事が少ない今こそ普段手をつけにくい、根本的な生産性改善に取り組むべきだ。
 従業員も危機感があり改革・改善に協力してもらいやすい今こそ、生産性改善を新たに始めたり、大型改善に取り組んだりする好機だ。この機を逃さず取り組んでいる3社の事例から、自社に使えるものを吸収してほしい。

コロナ禍で改善に取り組んだ菓子メーカー米屋の原料や在庫の倉庫。在庫削減活動で1200平方メートルの倉庫を空にした(写真:堀 勝志古)
コロナ禍で改善に取り組んだ菓子メーカー米屋の原料や在庫の倉庫。在庫削減活動で1200平方メートルの倉庫を空にした(写真:堀 勝志古)

<特集全体の目次>
飲食店の改善 星付きレストラン、常識を見直し9人→4人運営に
食品工場の改善 1200平方メートルの倉庫を空に
電子機器工場の改善 組み立ての流れを整理し、減収でも増益に



 福島県天栄村のアルファ電子は新型コロナ下の受注減をチャンスと捉えて、工場内の配置を全面的に見直した。作業者の無駄な動作や長距離の運搬をなくして、生産効率の向上を実現。2021年2月期は減収となりそうだが、増益を実現できる見通しだ。

 「新型コロナ禍の中で生産性を見直す活動をした結果、会社としての基礎体力が上がった」とアルファ電子(福島県天栄村)の樽川久夫社長は目を細める。

アルファ電子の樽川社長。コロナ禍で受注が減ったことをチャンスと、生産性改革を進めた(写真:尾苗 清)
アルファ電子の樽川社長。コロナ禍で受注が減ったことをチャンスと、生産性改革を進めた(写真:尾苗 清)

 2020年2月期に6億8000万円だった売上高は、21年2月期に5億3000万円まで落ち込む見通し。しかし、経常利益率は前期の倍となる6%以上を見込んでいる。

 アルファ電子は、電機メーカーなどから電子機器や電子部品の組み立てを受注する。リーマン・ショック以降は電機業界だけでは受注減のリスクが大きいと、ベッドに敷いて体温や心拍を把握するセンサーなど医療機器の組み立てにも事業を拡大してきた。

10年ごとの危機に備え

 「新型コロナが来るとは思わなかったが、そろそろ何かが起こる」。樽川社長は前期から社内の生産性向上に力を入れていた。

 1990年代のバブル崩壊に始まり、ITバブル崩壊、リーマン・ショックと東日本大震災。アルファ電子の経営は10年ごとに受注の大幅減に直面してきたからだ。

 経営革新活動の土台となったのが、「会社の体幹を強くすること」を目指した、生産性改善を学ぶ勉強会だ。コロナで受注が減り始めたタイミングで素早く生産性向上を始められたのは、この勉強会をしていたからだ。

 取材時に開催した勉強会では、生産性向上を担当する渋谷秀一常務が「ライン生産とセル生産の違い」の講義をした。

社内で定期的に開催している生産性改善勉強会の様子。奥で講師をしているのは渋谷常務(写真:尾苗 清)
社内で定期的に開催している生産性改善勉強会の様子。奥で講師をしているのは渋谷常務(写真:尾苗 清)

 このほか、動作のムダとは何か、生産品目ごとの生産量を整理して適正な生産体制を決める基準とする「PQ分析」とは何かなどを教えてきた。簡単な例を基に次回までに改善提案を考えてくる宿題を出すこともあるという。

続きを読む 2/3 工場内の流れを整理

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