新型コロナの影響が長引き、業績が苦しい会社は多いだろう。ただ、忘れてはいけないのは、コロナ禍はいずれ収まり、その際には、多くの生活様式、消費行動が元通りになる点だ。いずれ需要回復期が訪れる。そこに照準を合わせて、仕事が少ない今こそ普段手をつけにくい、根本的な生産性改善に取り組むべきだ。
 従業員も危機感があり改革・改善に協力してもらいやすい今こそ、生産性改善を新たに始めたり、大型改善に取り組んだりする好機だ。この機を逃さず取り組んでいる3社の事例から、自社に使えるものを吸収してほしい。

本記事で紹介する、菓子メーカー米屋の原料や在庫の倉庫。在庫削減活動で1200平方メートルの倉庫を空にした(写真:堀 勝志古)
本記事で紹介する、菓子メーカー米屋の原料や在庫の倉庫。在庫削減活動で1200平方メートルの倉庫を空にした(写真:堀 勝志古)

<特集全体の目次>
飲食店の改善 星付きレストラン、常識を見直し9人→4人運営に
食品工場の改善 1200平方メートルの倉庫を空に

電子機器工場の改善 工場内を整理して効率向上 減収でも増益に(3月17日公開)


 成田山新勝寺の参道で菓子を売る米屋は、観光客激減の影響を受けた。2021年3月期の売り上げは前期比約30%減で、赤字を見込む。それでも、今のうちに改善活動を加速させ、回復期に備えている。

 上に写真を示したのは、千葉県成田市にある菓子メーカー、米屋の空き倉庫だ。米屋は、成田山新勝寺の参道に店舗があり、観光客への販売が柱の1つとなっていた。お盆や年末年始など、帰省や旅行の手土産需要も大きかった。

 しかし、コロナ下では観光客が激減した。2021年3月期の売上高は、前期比30%減の約60億円となり赤字を見込む。

 そんな中、主に製造現場で生産性改善を続ける。まず、設備や人の稼働率に余力があること。加えて、「コロナの影響が深刻だ」と従業員が危機感を覚えていることが、不況期に改善が進む要因の1つだと、諸岡良和社長は語る。

諸岡社長は、1899年から続く老舗のトップとして、在庫廃棄などの決断を率先し、生産性改善を促してきた(写真:堀 勝志古)
諸岡社長は、1899年から続く老舗のトップとして、在庫廃棄などの決断を率先し、生産性改善を促してきた(写真:堀 勝志古)

 17年、手狭になってきたとして、工場の増設を真剣に検討し始めた。そのタイミングでコンサルタントから「不要なものが工場内に多くある」と指摘を受け、本格的な生産性改善活動に着手した。

 中でも、在庫削減に力を入れた。在庫は山田日登志氏が提唱する「停滞のムダ」の典型だ。和菓子に使う砂糖やアズキ、包装紙などの原料在庫は、17年12月時点で2億5200万円あった。在庫の見直しによって、20年3月時点では1億3900万円、さらに9月には9100万円にまで減少した。その結果として、原料倉庫に使っていた1200平方メートルの部屋を完全に空にできた。工場内に大きなスペースが生まれたことで、建て替え予定だった本社の機能を工場内に移す計画だ。

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