次々と新分野に進出し、業容を拡大するアイリスオーヤマ。その成長を支える人材の評価と育成に並々ならぬ情熱と経営資源を注ぎ込む。

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 家具から家電、食品まで事業の対象範囲を今も広げ続けるアイリスオーヤマ。2022年の売上高は単体で2506億円。グループ全体だと7900億円に達している。以前から巨大企業だったわけではない。1990年には全体で167億円、初めて1000億円を超えたのは99年だ。

 これまでの躍進の背景に、大山健太郎会長のリーダーシップがあるのは間違いない。ただ、これだけの企業規模になると、商品開発や生産体制の細かなところまで指示することもできない。現場を支える人材の質の高さが、持続的な成長を支えている。今回は、この人事評価制度の一部を細かなところまで紹介する。

 今回紹介するのは、毎年年末に出題される課題論文と、毎年2月に実施される昇格研修だ。

 アイリスオーヤマの人事評価制度のキモは「公平にチャンスを与え、公正に評価する」という、一見すると当たり前の姿勢の貫徹だ。経営者なら誰もが口にする公平公正の担保にどれだけの経営資源を投じているか見ていこう。

家電市場で日に日に存在感を増している((1)は近年各社が投入するスリム型冷凍庫。(2)は自動調理器)。(3)(4)ミネラルウォーター事業にも参入しており、パックご飯なども含め、食品事業を伸ばしている。(5)は業務用の空気清浄機
家電市場で日に日に存在感を増している((1)は近年各社が投入するスリム型冷凍庫。(2)は自動調理器)。(3)(4)ミネラルウォーター事業にも参入しており、パックご飯なども含め、食品事業を伸ばしている。(5)は業務用の空気清浄機

課題論文は毎年必須

 まずは論文から見ていこう。アイリスオーヤマでは、主任級以上は課題論文の提出が必須だ。少なくともこの仕組みは1990年代から続けられており、毎年、年末に課題論文のテーマが発表される。

 課題は自部署の問題解決の事例をまとめるものや、「構想力を身につけるためにどうするべきか」「ブランド価値向上のために自分は何をするのか」といったものなど、さまざま形で出題される。

 2022年末の課題論文の対象者は約780人だった。分量は指定された様式でA4用紙2枚。約2600字だという。病気などの例外を除き、提出は必須だ。

 提出された論文は、人事評価委員会によってすべてチェックされる。人事評価委員は営業や製造、開発など各部門の部門長クラスと人事部などで構成され、全体で約20人になる。

 会田祐一人事部長の場合、80人程度の論文に目を通す。内容を理解し、ある程度の評価をするために、1本当たり少なくとも20分程度の時間をかけるため、単純計算で26時間以上が必要だ。

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