東日本大震災による津波で大きな被害を受けたしょうゆ・味噌製造の八木澤商店。昨年、創業の地に新本社が完成。地元企業が集まって立ち上げた商業施設も稼働した。土地の文化「発酵」をテーマに、持続的に豊かに暮らせる町の復興に取り組む。

震災から10年目の昨年、元の本社があった岩手県陸前高田市気仙町に、ようやく新本社と本社工場が完成したのですね。創業以来、八木澤商店が業を営み、河野社長ご自身が生まれ育ったこの地域は、歴史のある町並みがすてきなところだったと聞きます。


河野:気仙町今泉という集落は、家が600戸、約1600人が暮らしていました。神社仏閣が多く、町の中に味噌・しょうゆ屋が3軒。大豆を蒸す湯気やしょうゆを醸す香りの中で育ってきました。しかし津波であらゆる建物が流されて、町は壊滅してしまいました。
震災のその年に、今泉住民協議会を立ち上げて、復興の道筋を議論しました。醸造業をやってきた者としては、またこの地に本業で戻ってきたい。できれば発酵をテーマに、昔の香りや音がする町にしようと復興計画を市に提言してきました。
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