東日本大震災による津波で大きな被害を受けたしょうゆ・味噌製造の八木澤商店。昨年、創業の地に新本社が完成。地元企業が集まって立ち上げた商業施設も稼働した。土地の文化「発酵」をテーマに、持続的に豊かに暮らせる町の復興に取り組む。

河野 通洋(こうの・みちひろ) 八木澤商店社長
河野 通洋(こうの・みちひろ) 八木澤商店社長
1973年生まれ。米国留学後、ホテル勤務を経て99年に八木澤商店入社。東日本大震災の翌月、2011年4月に9代目社長に就任。会社の立て直しの一方で、地域の新事業を育成する「なつかしい未来創造」、1次産品業者が連携する「砥意志」などにも携わる(写真/佐藤 到)

震災から10年目の昨年、元の本社があった岩手県陸前高田市気仙町に、ようやく新本社と本社工場が完成したのですね。創業以来、八木澤商店が業を営み、河野社長ご自身が生まれ育ったこの地域は、歴史のある町並みがすてきなところだったと聞きます。

2021年5月、創業の地である陸前高田市気仙町今泉に本社社屋と工場が完成
2021年5月、創業の地である陸前高田市気仙町今泉に本社社屋と工場が完成
210余年の歴史を持つ八木澤商店。本社内に往時の姿と町並みを伝える絵が飾られている(写真/佐藤 到)
210余年の歴史を持つ八木澤商店。本社内に往時の姿と町並みを伝える絵が飾られている(写真/佐藤 到)

河野:気仙町今泉という集落は、家が600戸、約1600人が暮らしていました。神社仏閣が多く、町の中に味噌・しょうゆ屋が3軒。大豆を蒸す湯気やしょうゆを醸す香りの中で育ってきました。しかし津波であらゆる建物が流されて、町は壊滅してしまいました。

 震災のその年に、今泉住民協議会を立ち上げて、復興の道筋を議論しました。醸造業をやってきた者としては、またこの地に本業で戻ってきたい。できれば発酵をテーマに、昔の香りや音がする町にしようと復興計画を市に提言してきました。

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